電子カルテのクラーク運用は生産性を向上させる仕組み
生産性向上と業務効率化は、目指すゴールが異なる
「生産性向上」とは、「投下されるリソース(資源)に対して、成果をより高める」という意味です。生産性を向上するためには、成果に直結するコア業務に特化して取り組むことが必要で、そのためにはノンコア業務にはリソースを割かないことが大切です。
一方で、生産性向上と業務効率化はよく意味を混同しがちです。「業務効率化」とは、「これまでの業務をより早く、より低コストですること」を指します。
つまり、生産性向上と業務効率化は、それに取り組む目的、ゴールが異なるというわけです。では、なぜいま生産性に注目が集まっているのでしょうか。その背景には、我が国の労働人口が減少傾向にあるにも関わらず、長時間労働を前提として働くことを善しとする社会構造があるためです。短時間で高い成果を実現できる社会に変わる必要があると考えられているのです。
医療の世界ではどうすれば生産性が高まるのか?
それでは医療の世界では、どうすれば生産性が向上できるのでしょうか。わたしは「生産に直結する」コア業務と「生産に直結しない」ノンコア業務を明確にして、いかにコア業務に集中できる環境を整備できるかが鍵であると考えています。
生産性を高める手法として、ICT(Information Communication Technology)、AI(Artificial Intelligence)、RPA(Robotic Process Automation)といった技術の導入・活用に注目が集まっています。しかしながら、これらを導入することは手段であり、それを活用するヒトの教育も忘れてはならないと考えます。
電子カルテのクラーク運用は生産性向上の取組み
わたしは長年クラークを育成する目的として、医師の負担軽減、医師が診療に集中する環境整備を掲げてきました。このことを、生産性向上という意味から考えると、医療においてリーダー役である医師は、チームを率いるマネージメントを行う立場にあります。医師から電子カルテ入力など事務作業から解き放ち、チームマネージメントに徹することを可能とするのが電子カルテのクラーク運用であると考えます。
また、クラーク運用では受付スタッフを診察室に再配置することで、成果に直結する業務(診療業務)に関わる人員を増やし、医師の業務を再配分することにより、生産性の向上を図ろうとしているのです。電子カルテは従来、業務効率化のツールと意味づけられていました。しかしながら、電子カルテとクラークを組み合わせることで、「生産性向上」を実現できる仕組みと生まれ変わるのです。
わたしどもが提供している「電子カルテクラークプログラム」で、スタッフに力が備われば、医師の業務をクラークに配分できるようになり、その結果、医師は診療というコア業務に注力できるようになるのです。