重複投薬の解消の取り組み
2020年度改定で、重複投薬解消を評価
この4月に予定される「2020年度診療報酬改定」では、かかりつけ機能の評価について、「複数の医療機関を受診する患者の重複投薬の解消」として、
①医師が自ら重複投薬の有無等を把握し、他の医療機関間の連絡・調整を行う取組
②薬局による重複投薬の有無等の確認の結果を活用して、かかりつけ医が重複投薬に関する他の医療機関との連絡・調整等を行う取組
を評価する点数が新設されることになりました。
クリニックは調剤薬局と連携して、これまで以上にお薬の管理を徹底していくことを求められています。
初診時では確認するが、再診時は…
さて、どの時点で他院で出されたお薬の確認ができるのでしょうか。それは、「受付時」か「診察中」となります。たいていの場合、初診の患者は受付で問診票のなかで「現在服薬中のお薬はありませんか」と尋ねるか、お薬手帳の提出を求め、薬の把握にも努めます。
しかしながら、再診時にはあまり問診票が活用されていませんので、十分な確認がされていないのが現状です。あくまで、当院が出した薬に残薬があるか、薬の効き目はどうだったかを口頭で確認するのが精一杯ではないでしょうか。
患者の申告で初めて他院の薬が明らかに
そうなると、他院の薬は、診察の途中に「その薬は昨日内科でもらいました」「整形外科でも湿布をもらってます」といったように、患者の申告があって初めて気づく場合が多いのではないでしょうか。今回のように重複投薬を発見するためには、再診時にもお薬手帳の確認を徹底するなど、それなりの工夫が必要なのです。
お薬把握の仕組み
たとえば、医師の診察の前に、予診として、医療クラークや看護師が薬の把握をしっかりしているクリニックがあります。患者さんには毎回、お薬手帳の提出を求め、それについて確認し、カルテに記録を取ってから、医師の診察を迎えるといった工夫をしているのです。医師の負担を軽減するために、クラークや看護師がサポートを行っているのです。このように、医療クラークの仕事は電子カルテの代行入力にとどまらず、患者からの情報収集も一つの役割と位置付けているのです。
一方で、最近ではWeb問診という新たな仕組みを取り入れるクリニックも増えつつあります。薬をはじめとした患者のムンテラをシステムで行おうという取り組みです。具体的には、アンケート形式で質問に回答することで、問診表を埋めていく仕組みです。この中で、医薬品についてはお薬手帳をカメラで取り込むことが可能です。OCRの仕組みを用いれば、デジタルデータとして取り込むことも可能です。この情報は今や電子カルテに簡単に取り込むことが可能ですので、今後は更なる活用が進むと思われます。
(執筆:MICTコンサルティング)