医療文書の作成をクラークに任せよう
医師の診療を止めてしまう一つの原因として、診療情報提供書(いわゆる紹介状)など医療文書の作成があります。この文書を医療クラークが代行できれば、診療の手を止めずに文書を作成することが可能になります。つまり、「診療時間中に医療文書ができている」これは医療クラーク導入に対する大きな効果です。今回は医療文書の作成を代行するクラークについて、診療情報提供書をもとに解説します。
まずは自動・選択式で大筋を作成
診療情報提供書は、①宛先②作成日③自院の署名④患者情報⑤病名⑥紹介目的⑦既往歴・家族歴⑧症状・検査結果⑨治療経過⑩現在の処方、などから構成されています。
このうち、自動的にカルテから情報が入ってくるものは、①作成日(基本は本日の日付)、②自院の署名、④患者情報、⑤病名です。
また、事前に情報を登録しておけば選択式にできるのは、①宛先(医療機関名)と②紹介目的(精密検査、CT・MRI、入院、手術など)です。そして、カルテから単純に貼り付ければよい部分が⑦既往歴・家族歴と⑧症状・検査結果、⑩現在の処方です。
クラークが、診療情報提供書の作成が必要になった際に、まずはこれらの項目を埋めるだけで、大きな時間短縮になることが分かります。(ただし、電子カルテメーカーによって、医療文書の作成の仕方は違いますので、完全にこのままの手順ではないので注意が必要です。)
治療経過は「ひな形」で時間短縮
残るのは、⑨治療経過ですが、この作成もひな形を用いることで時間短縮が可能です。
(ひな形の例)
平素より大変お世話になっております。
〇〇を主訴に当院に受診された患者様をご紹介させていただきます。
当患者様は(経過〇〇)のため、精密検査が必要であると判断いたしました。
今後の加療よろしくお願いいたします。
このようなひな形を、精密検査、CT・MRI、入院、手術といった紹介目的ごとに作成しておけば、紹介目的が分かれば、医療クラークによる下書きが可能となるのです。医師はブランクになっている、主訴と経過を入力するだけで済むのです。
主訴や経過も口頭指示で記入が可能
主訴や経過についても、普段から医師の隣でカルテを書いているクラークであれば、慣れてくれば、医師による口頭指示で書くごとができるようになるでしょう。カルテを書く行為自体が医療文書作成の練習にもなっているのです。
医療文書の作成ステップ
①自動化・選択式で大筋を作成する
②治療経過はひな形を選択する
③主訴と経過は医師による口頭指示で作成
④医師が最終的に見直して、発行
クラークに医療文書の作成を教える際も、①②③と順に教えていくことで、スムーズに力をつけていただけると思います。