コロナ禍のクリニック経営:第3回「ウィズコロナ時代のICT化の3つの視点」
2019年から始まった働き方改革、2020年初頭から始まった新型コロナウイルス感染症の感染拡大による新常態、そして、それに伴う急速なICT化を推進する政府の政策(オンライン診療、オンライン資格確認、電子処方箋など)がクリニック経営に大きな影響をもたらしています。
それらの影響を強く受ける「ウィズコロナ時代」クリニックのICT化を進める際に重要な視点は3つあります。それは、「基幹業務」と「マーケティング」、「働きやすい環境」です。
今回はこの3つの視点に紐づくシステム群を解説します。
(1) 基幹業務システム(オペレーション)
クリニック運営上、ベースとして必要な期間システムは、電子カルテ、レセコン、PACS(検査管理システム)です。これらのシステムは、受付、診察、検査、会計といった、クリニックの基幹業務に密接に絡むシステムです。
また、レントゲンや内視鏡、エコーなどの医療機器との連携がますます重要となっています。システム同士の連携、システムと医療機器の連携が複雑に入り組み、システム選定を難しくさせています。
(2) マーケティング
新型コロナウイルス感染拡大の影響から、患者が増え続ける状況は一転し、感染恐れた患者の受診控えや、3密対策による待合室の改善(混雑緩和)など、患者を集めることが難しい状況となっています。
そのような影響からクリニックにおける「マーケティング活動」の重要性が増しています。このクリニックのマーケティング活動の前提条件として、「感染症対策」をしっかり行い、それを患者に的確に伝えることが含まれています。
この「マーケティング」に必要なシステムとしては、WebサイトやSNS(LINE、Facebook、Instagram、Twitterなど)、Web問診、予約システム、オンライン診療などが挙げられます。これらをどのようにリンクさせ、効率よく活用していくかが重要となります。
(3) 働きやすい環境
ウィズコロナ、そして「働き方改革」が進められる中、業務効率化、生産性向上に取り組むクリニックが増えています。その影響から、クリニックで最も人出がかかっている「受付・会計業務」の効率化を目的にしたシステム導入が増えています。
具体的には、再来受付機や自動精算機、2021年3月から始まるオンライン資格確認システムなどが例として挙げられます。また、スタッフ管理の視点から、スタッフの勤怠を管理するシステムや、院内での情報共有のためのSNSの活用も始まっています。
スタッフにとって、働きやすい環境をいかに作り出すかが、スタッフの獲得・定着につながります。ICT活用の新たな視点として近年注目が高まっています。
次回は、「基幹業務のICT化」を詳細に解説します。