電子カルテをとことん使いこなすためには

電子カルテが十分使いこなせていないのでは?

日々、クラークの育成・指導を行っていて、度々感じることがあります。それは、「電子カルテの機能を十分に使いこなせていない」という問題です。その理由は、時間の関係で、「電子カルテ研修」が基本的な操作研修にとどまっており、より深く理解するまでには至っていないことにあります。また、日々の操作に支障がなければ、マニュアルをあらためて見る機会も少なく、おそらく網羅的に機能を把握し、触ってみるということが行われてないのではないでしょうか。電子カルテの運用を、医師からクラークへ移行するのは絶好の見直しのタイミングです。是非、今一度電子カルテの機能を理解するチャンスととらえてはいかがでしょうか。

電子カルテの機能とは?

電子カルテの機能は、もともと「レセコン」の機能と「カルテ作成」の機能、「その他」の機能(書類作成・検査等)に分かれます。医療事務は毎日、受付、会計、請求というレセコンの機能はかなり使いこなせており、しっかり理解しています。しかしながら、カルテの機能はあまり知らないということもあるでしょう。電子カルテの導入時に研修に参加していないということもその要因です。

そこで、今回はカルテの機能を整理しながら、さらに電子カルテを使いこなすヒントを考えてみます。

  カルテの用語登録機能のバージョンアップ

電子カルテには、決まった用語をセット化してあらかじめ登録しておく機能が備わっています。これらの機能は電子カルテ導入時に設定することがほとんどで、実際に運用してみると、徐々に使わなくなっていることもよくあります。時間をかけてしっかり設定したのに、なぜか使われなくなっているのです。

そこで、セットの棚卸をご提案します。この作業を一緒にクラークと行い、クラークが使いやすいように改造してもらうのです。このプロセス自体が、医師の診療の流れや処方の使い方などを説明することになり、クラークの研修にもなるので、電子カルテメーカーのサポートをもらいながら行うと良いでしょう。

  辞書登録機能

よく使う定型語は「辞書登録機能」を活用してはどうでしょうか。この辞書登録機能とは、IMEやATOKなどの辞書ソフトにある機能で、長い文章を短いキーワードで登録することが可能です。例えば、良く書く所見をセット化して、登録することが可能となります。これを登録しておくことで、一から長い文章を入力する必要がなくなり、入力工数自体が減少します。

(例)一週間(いっしゅうかん)→1W

   耳鼻科所見→ 耳/鼻(黄色・水色)/喉(発赤)

   腰所見→前屈/後屈/右曲/左曲/右旋回/左旋回/手足のしびれ

 添付文書機能

電子カルテには、薬の添付文書がその都度閲覧できる機能が備わっているものがあります。添付文書には、剤の写真や、飲み方、適応病名、副作用・注意点などが載っており、これらを日々読む習慣をつけることで、クラークの薬の理解が進みます。薬を知ることで、間違いに気づけるようになったり、医師の処方意図が理解でき、飛躍的に力が付きます。もし、電子カルテに「添付文書」の機能がなければ、インターネットで調べても良いでしょう。

〇医療用医薬品 情報検索(医薬品医療機器総合機構)

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

 カルテの閲覧機能

電子カルテは過去の情報を探すのが紙に比べて難しいという声がいまだにあります。紙であれば感覚でたどり着けるのに、電子カルテは一枚一枚スクロールするので大変というのです。これについても、電子カルテの「付箋機能」や「処方グラフ(処方のみを一覧で時系列に表示する機能)」などを活用することで、重要な部分にすぐ飛ぶことが可能です。中には、カルテの背景色を変えることができたり、時系列に表示できるメーカーもあるので、いまいちど効率的に過去カルテの閲覧を行えるかどうか確認すると良いでしょう。せっかくのデジタル化されたデータですから活かさない手はないのです。

このように、電子カルテは、「書く、見る、調べる」という3つの機能を中心に開発されていることがかわかります。電子カルテを使いこなすとは、日々のカルテ運用において、いかに素早く効率的に行うかを追求していくことに他ありません。電子カルテを使いこなすことで入力自体が効率化し、クラークのスキル向上とあいまって、業務の効率化が図れると思います。是非、取り組んでみてください。

mailmaga

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