「クラークVS音声入力」
音声入力は医療の様々な場面で大活躍
最近、技術の進歩は著しく、「カルテの作成に音声入力が使えないか」という相談が増えています。この音声入力の技術は、放射線部門での活用が先行しており、報告書の作成に多く使われています。一方で、最近では調剤薬局の薬歴の作成や介護施設の介護記録で使われるようになりました。
医療の世界で古くから使用されている音声入力ソフトはAmiVoice(アドバンストメディア)です。同ソフトは医療辞書を搭載することで、医療用語も変換が可能になっています。今改定で、会議やカンファレンスのオンライン化が進められようとしており、会議の効率化を求めている医療機関にとっては会議の議事録作成で使用するのも一つの案ではないでしょうか。
認識率はどれくらい
AmiVoiceの認識率は、ホームページによると、「丁寧に話せば認識率95%」と書かれています。これならば、音声で入力した後に少し手直しするだけで使えることになります。報告書の作成であれば、しっかり丁寧に話すことが可能なので、高い認識率が実現できるのでしょう。ちなみに、認識率を高めるコツは①はっきり明瞭なしゃべり方をする②録音ボリュームを適切に調整する③マイクを口に近づけて話す、とのことです。今後はAIなど自動学習機能が進化すれば、どんどん認識率は上がっていくとされています。
医療クラークとの比較
「医師に代わって電子カルテを入力する医療クラークを配置しなくても、音声入力で十分ではないか」というご相談をいただきます。医療クラークの仕事が書類作成だけであれば、その通りだと思います。音声入力ソフトは約24万円ですから、クラークの人件費よりはるかに格安で導入が可能です。
しかし、診療所におけるクラークの仕事は書類作成だけではありません。具体的には、患者の問診を取ったり、医師と患者のやり取りをカルテのSOAP欄に適切に振り分けたり、処方や検査を検索して入力したり、次回の予約を取ったり、と多岐に渡ります。そのため、音声入力が使用できるのはクラーク業務のごく一部と言えるでしょう。
熟練クラークは医師の右腕
長年医療クラークとして勤務してきた熟練クラークは、医師の右腕になって診療を潤滑に回すことができるようになります。医師がして欲しいこと、医師の見落としなどを発見したり、看護師や介助の動きを見ながら、先回りをして行動に移しています。ここまで育つと、診療スピードは増していき、医師にとってはかけがえのない存在となるのです。
(執筆:MICTコンサルティング)