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問診票をデジタル化するメリット

診療所で電子カルテの普及率は、厚生労働省の統計では、診療所の41.6%に達したとしています。カルテは診療所の業務効率化やペーパーレスの中心的な役割を担っていますが、相変わらず紙のまま残っているものがあります。それは患者さんが記入する「問診票」です。

問診票は何のため
問診票は患者さんがスムーズに診療が受けられれよう、患者さんの「受診目的」や「訴え」などを自己申告する用紙です。また、患者さんの受診に至る背景として、既往歴や薬歴、家族歴、他院の受診歴、妊娠の有無などを確認します。問診票は、いってみれば患者さんと医療機関をつなぐ「お得意様シート」と言えるでしょう。この問診票をしっかりとることで、診察がスムーズに進むようになり、診察時間短縮にもつながります。

問診票は、「紙カルテ」のころはカルテに直接貼って管理していたため、電子カルテに転記する作業はそもそもありませんでした。電子カルテによって、デジタル化が進んでも問診票は紙のまま残ってしまったのです。

診療所の問診票の現状
2019年現在、診療所では電子カルテや画像ファイリングシステムが導入され、カルテやレセプト、フィルムがデジタル化されているのに、「問診票」は相変わらずアナログのままという診療所が大半です。
紙の問診票は、字が判読できなかったり、記入漏れがあったり、大切な部分が空欄だったりすると、再度確認が必要になることも多く、また転記ミスで発生するでしょう。受付はこの問診票の入力業務を手間だと感じているスタッフも多くいます。

問診票をデジタル化する
問診票もデジタルで運用した方が効率的と考えるのは当然の流れでしょう。インターネットの普及が進み、スマホやタブレットの普及が進むことで、患者さんが入力端末を持ち歩くようになりました。そこに目を付けたシステム会社が、「タブレット問診票」や「web問診票」という、新たなシステムを生みだしたのです。

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問診票をデジタル化するメリット

さて、問診票をデジタル化することでどんなメリットがあるのでしょうか。

1.受付スタッフは電子カルテに転記する作業がなくなる
問診システムと電子カルテがつながることで、問診内容がほとんど自動的に電子カルテに転記されるようになります。その結果、診療所の受付スタッフは、デジタル機器を操作できない患者さんのみ対応すればよいので、作業が大きく効率化されます。

2.事前に問診票を入力しておくことで、患者さんの対応がスピードアップする
問診票を事前にWebから入力できるようにしておくことで、来院時点で患者さんの病状が分かるようになり、検査が必要か、注射や点滴が必要か、隔離する必要があるかなど事前の判断が可能となり、診察へのスムーズな入りが可能となります。

3.サイズの制約がなくなり、より詳細な内容を記載することが可能になる
紙の問診票では、あまり多くの情報を書いてもらうことを患者さんに強いるのは心苦しいという考えと、管理上の問題から、紙1枚で納めるというのが一般的でした。しかし、デジタルはそのような制限がなくなり、枝分かれさせることも簡単ですから、はじめは「総合問診票」ではじめ、そこから「花粉症」「頭痛」「めまい」「生活習慣病」といった専門の問診票に分岐し、より深い詳しい情報をとることも可能になります。

4.問診票は自由記載方式から選択方式が主流になり抜け漏れがなくなる
問診システムのフォーマットを作成する際に、患者さんの利便性を考えると、選択式の方が良いことが分かります。例えば、「今日の訴えは?」という質問に対して、「喉が痛い、頭が痛い、熱がある、鼻水が出る、痰が絡む、おなかが痛い」といったように選択式にすることで、患者さんは病状を抜け漏れなく答えることが可能になります。

5.問診票の内容から受診する診療科や疾患名を類推できるようになる
問診票の内容を、統計処理をおこなえば、受診すべき診療科が分かるようになり、ある程度の予期される疾患も類推することが可能になります。患者さんにとっても、診療所にとっても、受診すべき診療科を間違えるのはお互いにとって避けたいことですので、この部分は問診票の新たな活用シーンとして、これから進んでいくことが予想されます。

このように、問診票のデジタル化は業務効率化の観点から、患者さんと医療機関のコミュニケーションチャネルとして、そして診療科のミスマッチの防止として、様々なシーンが活用できます。是非、今後普及して欲しいシステムのひとつです。

mailmaga

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