ICTを活用して院長をスタッフを楽にしたい

働き方改革を受けて、自動化に注目

最近、「自動化(オートメーション化)」という言葉をよく耳にするようになりました。少子高齢化が進む我が国において、「働き方改革」が急ピッチで進められています。働き方改革では、残業削減や有給休暇取得の推進など「環境整備」が先行して議論、推進されていますが、労働時間の短縮だけでは片手落ちであり、現場は生産性向上に取組む必要があります。

そこで、従来よりも少ない人員で生産力を高めるための手段として、「オートメーション化(自動化)」が注目されているのです。

 

クリニック業務のオートメーション化が遅れている

さて、クリニックにおいて「オートメーション化」は進んでいるのでしょうか。クリニックの業務を分解してみると、受付、診察、検査、処置、会計、レセプト請求、バックオフィスなどに分類できます。これらの業務を眺めてみると、いまのところ人的業務が大半を占めており、残念ながら他の分野に比べて大幅にオートメーション化が遅れているように感じます。オートメーション化どころか、それ以前の「業務の標準化」という部分もあまり進んでいないのではないでしょうか。

従来、クリニックは規模が小さくスタッフの数もそれほど多くなかったため、組織をシステマティックに回す必要がなく、クリニックごとに経験から生み出された独自ルールを、OJT(On Job Training)を通して、伝承して行く方法がとられてきました。そのため、標準化やオートメーション化が遅れていったのではないかと思われます。

 

システム化は業務効率化から生産性向上へ

2019年現在、クリニックでも電子カルテや画像ファイリングなど、システム化が当たり前の時代となりました。これらは一般的にクリニックの業務を効率化するために導入されるシステムです。今後は業務効率化から次のステージである、「生産性向上」に向けたシステムの導入が進むことでしょう。

今後の深刻な人手不足を乗り切るためには、当たり前ですがヒトを減らす必要があります。しかし、これまでは、医療の現場ではITを導入しても人員を減らすことができずにいました。それは、慢性的な人手不足である医療の現場では、少し人を多めに取っておく傾向にあったことや、これまでのシステム化自体がヒトの削減にまで至らないものだったのです。いまこそ限られた人員で効率的に業務を回すために、ITを活用するという考え方に変化する必要があるのです。

 

 

 

院長の業務を分解し、タスクシフトする

診療所において、院長は医師であり、経営者であるため、超多忙な毎日を送っています。なかには、診療以外の業務の方が忙しいとおっしゃる方さえおられます。一方で、多くの患者が毎日来る診療所では1時間あたりの診察患者数が増やすために、どうすれば良いかと相談に来られます。これらの問題の解決はは簡単ではありません。

まず、院長の業務を分解・棚卸し、院長しかできない業務以外はスタッフにタスクシフティングする必要があります。それができた上ではじめて、今度はどうすれば診療を早く回せるかの議論ができるのです。まずは医師が診療に集中できる環境を作り出す必要があるのです。

一方で、「スタッフの出入りが激しい(離職者が続く)」と悩まれる院長もおられます。離職理由は人それぞれですが、患者が多く継続的に忙しい、残業の多いクリニックでは、スタッフは自分の時間が取れない、他の職場の方が楽なのではないかと考え、離職を選ぶ傾向にあります。

 

働き方改革を受けた、システム活用

開業医およびスタッフの悩みは、まさにいま「働き方改革」で議論されている内容と一致します。短時間で高い生産性を挙げることが、診療所が今後生き残るために必要なのです。これらの課題について、「システムをどのように活用して、どのように解決していくのか」。これこそがわたしの使命であると考え、今後最も重点的に取り組むテーマと考えています。

mailmaga

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