電子カルテ・クラークの採用およびトレーニングの注意点

2019年に入り、平成の世も終わりをつげ、5月から新たな年号が始まります。このような時代の変化を感じやすい時期に、新たなことを始めたいと思われる気持ちはよくわかります。

最近、「電子カルテのクラーク運用を始めたい」と相談されるクリニックが増えてきました。働き方改革が叫ばれる中、残業短縮、有給消化、インターバル(休憩)の確保などを中小企業にも求める法律が施行されます。こういった職場環境を変化の必要性が、クラーク運用を後押ししているのかもしれません。

クラーク運用の相談の際に必ず聞かれるのが、「クラークは新たに採用した方が良いのですか」という質問です。

既存スタッフと新規スタッフのどちらが良いのか?

クラーク運用を始めるためには、
①既存のスタッフをクラークに転換する
②新規にクラークとしてスタッフを採用する
という2つの方法が考えられます。これのどちらが正解というわけではありません。わたしはどちらのパターンでもトレーニングすれば可能ですとお答えしています。ただし、既存スタッフと新規スタッフではトレーニング方法が異なりますので、注意が必要です。

既存のスタッフのトレーニング方法

既存のスタッフをクラークに転換する場合は、これまでレセコンを使ってきましたから、処方や検査、処置などのオーダーを入力することは慣れています。そこで、「経過欄」を中心にトレーニングを行うことになります。カルテに何を書くのか、監査に強いカルテはどう作れば良いかを教えています。その際に、SOAPの構造を説明することで、カルテの書き方を理解できるようになります。

新規のスタッフを採用するためには

新規のスタッフをクラークとして採用する場合は、採用の時から工夫が必要です。クラークは医師と患者の診察を聞きながら、見ながら、カルテに起こす作業が主たる業務になります。そのため、ある程度パソコンのスキルが高くなければ務まりません。
また、多くの情報から簡潔明瞭にまとめる力が求められますので、その部分も採用時にチェックしたいところです。チェックの際に、私が行っているのはパソコンのタイピングテストとショートスピーチです。
タイピングは、3分間に300文字打てれば充分でしょう。早く打つよりもミスタイプの少ない方を選んでいます。一方、ショートスピーチについては、「仕事上大切にしていること」「最近あった幸せな出来事」といったお題を出題し、1分間の短いスピーチを披露してもらいます。この際、短い時間で自分の意見を効率よく相手に伝えることが可能かを確認しています。

新規スタッフのトレーニング方法

新規のスタッフは医療事務経験があるなしが重要です。経験がない場合は、保険の仕組み、診療報酬の仕組みから始める必要があります。いきなり、カルテを書かせても分かるはずがありません。一方、経験者であれば、いきなりカルテを書く方法を教えます。経過欄とオーダー欄の入力方法を説明していきます。ここで注意点ですが、既存スタッフとの大きな違いは、新規スタッフは医師の考え方や、診療の特徴、話し方の癖等が分かりませんので、一定期間は受付でトレーニングをして、職場に慣れてからクラークの研修を始めていただいています。

mailmaga

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