電子カルテのクラーク運用の効用

クラーク運用のススメ(13)

クラークの導入の効果について説明してほしいという相談が来た際、わたしは「一石三鳥になります」とお伝えしています。

電子カルテが負担になる時期が来る

電子カルテを導入した医師にヒアリングしたところ、1日当たり外来患者数が80人を超えたころから、急に電子カルテ入力が負担に感じるようになったという話をよく聞きます。1日の診療時間を8時間、外来数を80人とすると、患者1人にかけられる時間は6分となります。

この6分の間に診察や処置、検査、患者説明に加えて、カルテ作成を実施すると考えると、医師1人で行うには明らかに時間が足りないのです。その結果、診療時間中にカルテ作成の時間が取れなくなり、外来患者の待ち時間が少しずつ延びていきます。

また、患者さまの増加とともにカルテの記載量が減少したり、カルテ作成が診療時間内に完了しないこともあります。その結果、診療終了後にカルテを見直し、追記・修正するため、遅くまで残業が発生しているという話も耳にします。

電子カルテの効果的な活用をどう実現するか

診療所における電子カルテの普及率は3割を超えました。普及が進むにつれて電子カルテを入力しながら患者と今まで通り向き合えるのか診療所における電子カルテの普及率は3割を超えました。かつては、電子カルテ選びのポイントは、「操作性」が第一に挙げられました。

このニーズに応えるため、多くの電子カルテメーカー操作性の改善に日々取り組んできました。

電子カルテの普及が進んだ現在では、操作性が良いのは当然であり、さらに踏み込んで「いかに現場の運用に適したものか」といった現場との適合性が重要となっています。この適合性とは、「電子カルテを入力しながら患者と今まで通り向き合えるのか」という問題を解決することです。

電子カルテ入力を代行する医療クラーク

そこで登場したのが、医師の代わりに電子カルテの入力を医療クラークにしてもらうという試みです。医師の負担軽減を目的に、病院では「医師事務作業補助体制加算」という診療報酬点数が設定されています。その影響で、病院では積極的にクラークが活用され始めています。

現在の診療報酬では、同加算の算定が診療所ではできないため、クラーク活用は効果が見込める一部の診療科が中心となっていますが、これからの普及が期待されています。

医師の負担を軽減するクラーク運用の主な効果

クラーク運用によって医師のどの業務が負担軽減できるのでしょうか。その主な効果として以下の3点が考えられます。

(1)電子カルテの入力や紹介状の下書きなどを代行する
(2)診察終了直後にレセプト点検業務を行うことができる
(3)看護師や受付スタッフと医師の間で情報共有がスムーズになる

上記3点によって、医師の負担が軽減することで患者さまと向き合う時間も増え、患者さまの待ち時間も減少するでしょう。また、スタッフも新たにクラークという役割を担うことでやりがいをさらに見いだせると考えます。つまり、クラーク運用は、患者さま、医師、スタッフが共に幸せになれる仕組みといえるのではないでしょうか。

執筆:大西

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