気をつけたい算定漏れ~読影診断料編~

医療事務の基礎知識(6)

今回は、読影料についてのお話です。

読影とは、患者様が他の医療機関で行ったレントゲンや心電図、内視鏡などの検査結果画像を自院での診察時に持ってきた場合に、それを見て医師が診断することをいいます。

このときに読影診断料が算定できますが、意外と知られていないようですので、今回のテーマに選んでみました。

画像診断(レントゲン)の読影診断が一般的だと思いますので、ここから始めたいと思います。

まずは学習!

レントゲンにも種類があります。大別すると、エックス線診断と核医学診断とコンピューター断層診断です。これらがさらに細かく分かれていて、エックス線診断の中にも4種類あります。

①普通に写真を撮るだけの「単純撮影」

②トモグラフ(断層撮影)やスポット撮影などの「特殊撮影」

③薬剤(造影剤)をからだに入れて撮影する「造影剤使用撮影」

④「乳房撮影(マンモグラフィー)」

コンピューター断層診断は、CT(コンピューター断層撮影)とMRI(磁気共鳴コンピューター断層撮影)、非放射性キセノン脳血流動態検査が該当します。

点数算定の仕方

ここからが本題です。エックス線の読影診断料は、区分番号E001写真診断の点数を撮影部位と撮影方法(単純撮影、特殊撮影、造影剤使用撮影または乳房撮影)別に1回ずつ算定できます。
読影時の写真(フィルム)の枚数は関係ありません。またアナログとデジタル、どちらでも算定点数は同じです。

たとえば、胸部の単純写真と胸部の断層写真の場合は、部位は同じですが撮影方法が異なりますので別々に算定できます。
点数は胸部の単純写真に対して「1」のイ.85点と断層写真に対して「2」の96点です。また、胸部の単純写真と、腹部の単純写真を読影した場合は、撮影方法は同じ単純写真ですが、部位が異なりますのでこのときも別々に算定できます。この場合は「1」のイ.85点を2回算定してください。

胃のレントゲンの読影診断料

胃のバリウム(造影剤)を使ったレントゲン写真の場合ですが、胃のレントゲンは造影剤使用撮影と特殊撮影(スポット撮影)の組み合わせと決まっていますので、「3」造影剤使用撮影72点と「2」特殊撮影96点を両方合わせての算定になります。

ここが注意点!

エックス線の読影料は、「撮影部位と撮影方法(単純撮影、特殊撮影、造影剤使用撮影または乳房撮影)別に1回ずつ算定」ですので、手術前と手術後などのように、撮影日が異なる同一部位の写真を同時に読影した場合も、1回のみの算定になります。

また読影部位の傷病名が必要になりますので、基本的には読影料の算定回数と同じか、またはそれ以上の傷病名数になることを確認してください。

CT、MRIの読影診断料

CTとMRIは一連になりますので、撮影部位が複数ある場合や撮影日が異なる場合、または薬剤を使って撮影した写真でも区分番号 E203 コンピューター断層診断450点を月1回に限りの算定になります。CTでもMRIでも、その両方の写真を読影した場合でも450点を1回のみの算定です。
またCTとMRIの読影料は、「初診料を算定した日に限り算定できる」と点数表に記載がありますので、再診時には算定できません。もちろん他の(替わりになる)点数も算定できませんので覚えておいてくださいね。

ここがポイント!

同一部位の単純撮影と、CT(またはMRI)の写真を読影した場合には、両方の読影料がそれぞれ算定できます。またCTやMRI以外でしたら、再診時でも算定できますので漏れなく、損をしないように算定してください。

ただし、自院から依頼をして、他院で撮影を行ってきた写真についての読影診断料は算定できませんのでご注意ください。

検査料の読影診断料

読影料が算定できる項目は他にもあります。検査の項目で心電図、負荷心電図の場合は、どちらも1回につき70点、脳波の読影診断料も1回につき70点、内視鏡検査の読影診断料も部位に関係なく1回につき70点です。

今まで損をしていた、ということはありませんか?これらは点数表に記載されていますが、

点数表を読みこなすのは本当に大変なことですよね。でも、たくさんのことが書いてあって、たくさんの決まりごとがありますので、知らないと損をしている可能性もあります。点数改定もありましたので、時には読んでみてはいかがでしょうか。

執筆:日本医業総研

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