気をつけたい算定漏れ~診察料~

今年最初のお話は、「診察料」についてです。

診察料は受診された患者様には必ず算定する基本診療料になりますので、どの医療機関でも、何科でも役立つ内容だと思います。初再診料のことって、分かっているようでいて意外と知らなかったり、電子カルテ(レセコン)任せでなんとなく分かっているつもりになっていらっしゃる方も多いように感じますので、診察料のことを正しく知っていただきたいと思います。

初診料の算定について

第1回目の診察時には、初診料を算定します。その後の第2回目の診察時に算定するのが再診料です。診察の都度、必ずどちらかを算定します。これは皆さんもご存知のことと思います。

最初に1回算定したあとは、今までにかかられていた傷病名がすべて「治ゆ」したら、その後の診察時に新たに初診料が算定できます。ただし同一医療機関内の2科以上で受診されている場合は、受診されている科のすべての傷病が治ゆしないと新たに初診料は算定できませんのでご留意ください。(1つでも継続している傷病名がある場合は、初めて受診する診療科であっても再診料の算定になります)

すべて治ゆしたあとでしたら、例えばその翌日でも初診料を算定することは可能です。

同一月内に2回以上初診料を算定しても構いませんし、転帰欄に治ゆ(または中止)の記載があれば2回までは特に問題ありません。ですが3回以上になる場合は、症状詳記をされた方がよろしいと思います。

本当の初診料

先の解説を聞いて、「本当の初診料って何?」と思われたでしょうね。2回目以降の診療時でも場合によっては初診料を算定することはできますが、初診料算定の原則に、「医師が医学的に初診という診療行為を行った場合に算定できる点数である」と定義されていますので、「今までの傷病が治ゆしたからとれる」と形式的に考えるのではなく、本質的には「初診という診療行為を行った場合」に算定してください。

初診料の算定ルール 1

算定の原則で決められている中に、健康診断で疾患が発見された場合についての記載があります。自院の健康診断にて疾患が見つかり治療を開始する場合は、その時点から健康保険を使うことは認められています(健康診断の項目自体は自費です)。ただし健康診断の当日は、初診料も再診料も算定はできません。翌日以降でしたら再診料が算定できます。この場合、初診という行為は健康診断の中で済んでいるという解釈になりますので、レセプトの摘要欄に「初診料は健康診断にて算定済み」または「○月○日、健康診断実施後」などのコメントが必要です。

また他院での健康診断の結果、疾患が発見されて(健康診断を行った医療機関とは別の医療機関で)治療を開始する場合には初診料が算定できます。

初診料の算定ルール 2

算定の原則で決められている中には、「患者が任意(自分の都合)で診療を中止して1ヶ月以上経過した後に再び同一の医療機関にて診療を受ける場合には、初診として取り扱うことができる」とあります。(この1ヶ月とは定期券の数え方と同じです。例えば1月10日から2月9日までと数えます)

ここで気をつけることは、治療とは医療機関に来ることだけではありません。在宅で薬を飲んだり療養することも治療になりますので、最終診療日から1ヶ月が経ったのですぐに初診料が算定できるという訳ではないのです。薬を処方している場合には、その薬が飲み終わってから1ヶ月経過後からになります。「1ヶ月間、医療機関による治療を受けなくても日常生活が送れた=あなたは元気!」というような意味合いでしょうかね。そしてここでのポイントは、あくまでも患者が自分の都合でというところですから、医師が次回はと言って間が空いた場合には半年後でも再診料の算定になります。ご留意ください。

また、「上記にかかわらず、慢性疾患等明らかに同一の疾病または負傷であると推定される場合の診療は初診として取り扱わない」とされています。

再診料の算定について

初診料を算定しないときの診察料が再診料です。再診料は再診の都度算定できますので、患者様が1日に2回受診された場合には、同日再診として再診料も2回算定できます。ただし、医師の方から「あとでまた来るように」と伝えての受診は、最初の1回しか算定できません。

電話再診

200床未満の医療機関では、患者または看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められ、医師が必要な指示を行った場合にも電話再診として再診料が算定できます。医師が直接対応した場合に限り算定できるものであって、医師の指示で変わりに看護師等医師以外の者が対応した場合には算定できませんのでご留意ください。またファクシミリや電子メールによる再診は聴覚障害者の場合のみ認められます。(電話再診を算定する場合には、その旨を院内掲示しておきましょう)

外来管理加算について

再診料には外来管理加算52点という加算項目があります。算定は厚生労働大臣が定める診療行為(処置や手術、超音波エコーや内視鏡検査など)を行わない再診時に加算ができます。このような診療が行われていない場合、電子カルテでは自動的に加算されてきますので、あまり気にされていないかもしれませんが、実は電子カルテが自動で算定してきても本当は加算ができないこともあります。

また、ただ診察をしただけでは外来管理加算は算定できません。外来管理加算を算定するに当たっての定義が再診料とは別にあります。それを実施していなければ再診料しか算定できませんのでご留意ください。(定義は医学通信社2016年4月診療点数早見表P45左下→外来管理加算「注8」イの1~4)

外来管理加算が算定できない場合

1. 電話再診

2. 初めて慢性疼痛疾患管理料を算定したあとの同一月内(翌月以降は、慢性疼痛疾患管理料を算定した同一月内)

3. 2科以上で受診し、どこかの診療科で外来管理加算が算定できない診療行為が行われた場合

4. 患者本人ではなく、家族等看護に当たっている者が来院して処方を行った場合

5. 鶏眼・胼胝処置を算定後の同月2回目以降の同処置を行った場合

※「鶏眼・胼胝処置」(170点)は、同一部位について、その範囲にかかわらず月1回を限度として算定します。月の1回目に所定点数を算定し、同月の2回目以降に同処置を行った場合は、所定点数および外来管理加算は算定できません。ただし、薬剤料は算定できます。

※4・5は電子カルテが自動で加算してくると思いますので、削除する必要があります。

今回はいつもとは違い、算定できないということを強調した内容になっています。本当は算定できないのに算定することはよくありません。その理由が知らなかったからであっても電子カルテが自動でということであってもダメなことはダメですから、正しい算定をするようにしてください。

次回はこの続きで「複数科初診料、複数科再診料」と「小児科での初再診料の算定、小児科外来診療料」のお話をします。同一医療機関で2科以上の診療科を標榜し、それぞれの専門医がいらっしゃる医療機関や、小児科ではお役に立てる内容だと思います。小児科では通常の診療時間内でも時間外等の加算ができたり、時間外等の加算点数が項目によっては異なるなど、点数表やテキストを見ても分かりにくいところを分かりやすく解説しますのでお楽しみに!

—この記事は2018年1月に書かれたものです—

執筆:日本医業総研

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