気をつけたい算定漏れ~腫瘍マーカー検査の算定について~

医療事務の基礎知識(17)

今回は、腫瘍マーカー検査を行ったときの算定について解説します。

腫瘍マーカー検査は血液で行う癌の検査です。検体検査で生化学的検査(II)の区分になります。

点数の算定は、癌であると確定している患者と、癌の疑いの患者とで異なります。カルテからは傷病名の違いで見分けてください。

行っているのは血液検査ですが、癌が確定している患者様の場合の算定は、(13)医学管理等の「悪性腫瘍特異物質治療管理料」で算定します。

癌の状態を確認した上で、今後の治療方針を考え、管理を行っていくことを評価した点数になります。

癌の疑いの患者様には、まだ癌かどうかは分かっていないので、検査を実施したことにより、(60)検査料で算定します。

大切!

同一月に、「腫瘍マーカー検査料」と、「悪性腫瘍特異物質治療管理料」を両方算定することはできません。

たとえば、今日は癌の疑いで検査を行い、その結果、癌であることが分かった場合の今日の算定は、検査料になります。そして同一月に再び腫瘍マーカー検査を行ったとしても、悪性腫瘍特異物質治療管理料は算定できませんのでご留意ください。

算定について

それぞれの算定の仕方です。

管理料で算定する場合

「悪性腫瘍特異物質治療管理料」の算定は、3通りの点数があります。

イ、尿中BTA だけだった場合は 220点

ロ、尿中BTA 以外の検査項目を1項目のみ検査した場合は 360点

  尿中BTA 以外の検査項目を2項目以上検査した場合は 400点

※尿中BTAと尿中BTA以外の項目を同時に検査した場合は、尿中BTA以外の項目数のみを数えて算定します。

検査料で算定する場合

検査料で算定する場合、検体検査は、

・検査料

・検体採取料

・判断料

この3つを考えて算定します。

検査料は検査を実施した都度算定できます。

検体採取料は、検体(検査をする物)を採取することでもらう技術料を評価した点数です。基本的には患者が自分で採取できる場合には算定できませんので、必要なときには点数表等で「診断穿刺・検体採取料」というところをご確認ください。

そして判断料は、6つの区分に分かれている各区分ごとに、暦月で1回のみ算定できます。

これを踏まえて、検査料は、腫瘍マーカーの場合、各項目ごとに点数は決まっていますが、まるめ算定にもなっていますので、2項目で230点、3項目で290点、4項目以上で420点です。(尿中BTAは除く。尿中BTAは、単独で80点になります)

採取料は血液が検体なので、静脈採血料30点(6歳以上)が算定できます。

判断料は、生化学的検査(Ⅱ)144点になります。

管理料で算定時の加算

管理料で算定する場合に「初回月加算 150点」という加算点数があります。ロの360点または400点を算定する場合に限り、初回月だけ加算することが認められています。(イに加算することはできません)

しかしこの初回月加算は、管理料で算定する初回月だけ加算ができるのですが、加算ができないケースもあるので気をつけてくださいね。

初回月加算ができない場合

悪性腫瘍特異物質治療管理料を初めて算定する初回月に限り、ロの点数に加算ができますが、その前月に腫瘍マーカーの検査料を算定していたら初回月加算は算定できないというルールになっています。ここでのポイントで、前月とは暦月で1ヶ月前のことだけを指します。たとえば5月に初めて悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定する場合は、その前の4月に腫瘍マーカーの検査料を算定していたら加算はできないということです。これが3月の検査で5月に初めて管理料を算定する場合には加算はできます。

初診の患者様

初診の患者様でも、癌であることが分かっている場合には初診時から管理料で算定することもできます。また癌の手術後の患者様の場合も、その後の経過観察ということになりますので、管理料が算定できます。また、転移性の癌疑いで検査をした場合も管理料を算定します。(原発性の癌疑いの場合は検査料です)

このように同じ医療行為でも、病名によって算定点数が異なる場合もあります。

点数表で「主たるもののみ算定する」と書かれているときには、点数が高くなる方を選ぶことができますが、今回の場合は患者のカルテをみて、病名から判断することになりますので、管理料を算定する方が点数が低くなることもあります。それでも病名によって正しく算定するようにしてください。

—この記事は2018年5月に書かれたものです—

執筆:日本医業総研

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