気をつけたい算定漏れ~休日加算と夜間・早朝等加算編~

早いもので今年も残すところ2ヶ月足らずとなりました。年末年始の診療予定日は決まりましたでしょうか。今回は診察料(初診料、再診料)に加算できる「休日加算」と「夜間・早朝等加算」の違いについてお話しします。この2つはちょうど年末年始に関係があり、間違えやすいところですのでぜひご一読ください。

 大きな違いを把握して!

診察料に対する時間外加算、休日加算、深夜加算は医療機関が「診療を行っていない時間帯」にできる加算です。そして夜間・早朝等加算は医療機関が「診療を行っている時間帯」に加算するものです。ですからこの2つが重なる(両方を算定する)ことはありません。

 休日加算の対象!

休日加算の対象は、日曜日および国民の祝日と、12月29日~31日および1月1日~3日です。これらの日が休診の場合であって、患者からの希望で緊急を要する診察を行ったのであれば休日加算が算定できます。

患者からの希望とは、あくまでも患者が緊急を要して来院し、診察を行った場合をいいます。医師の方から来るように言って診察を行ったときには加算はできません。また患者の希望であっても、いつもの薬がほしいなど、急を要さない場合も加算は出来ませんのでご留意ください。

点数表で確認!

A000 初診料 注7

A001 再診料 注5 の 時間外、休日、深夜加算


点数表には、A000初診料 注7『保険医療機関が表示する診療時間以外の時間、休日又は深夜において初診を行った場合は、それぞれ85点、250点又は480点を所定点数に加算する』と記載されています。(カッコ内は省略)

また、休日加算の取扱いとして、2016年4月(医学通信社)点数表P40右側 →休日加算の取扱い

イ 休日加算は次の患者について算定できる。

(ロ)当該休日を休診日とする保険医療機関に、又は当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間以外の時間に急病等やむを得ない理由により受診した患者(上記(イ)以外の理由により常態として又は臨時に当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間内に受診した患者を除く


上記の加算が算定できるときとは、医療機関が診療を行っていない時間帯であって、急病等やむを得ない理由により患者の方から受診を希望して診察を行った場合です。


ですから、医療機関が「診察時間」と表示している時間帯には、これらの加算はできません

たとえば、日曜日を診療日と表示している医療機関の場合は、表示している時間はこの加算はできません。しかし、表示している時間を過ぎた診療時間終了後は「時間外」でもあり、また、日曜日は休日加算ができる対象になっていますので、休日加算が算定できます。(時間外加算と休日加算の併用算定は不可)

日曜日を診療日としていない医療機関の場合でも「医師の方から来院するように」と指示があり受診したときは、「急病等やむを得ない理由」に当てはまらないため、診療を行っても休日加算はできません。

このことから、12月29日や30日も休日加算の対象ではありますが、上記(ロ)にあるように「臨時に診療日としている保険医療機関の診療時間内に受診した患者」には休日加算が算定できません。

間違えないで!

地域の輪番制当番医として休日診療が行われた際には、休日加算が算定できます。これは先生の希望で開業されるのではなく、医師会等より頼まれて開業(診療)をされることと思いますので、点数表P40右側 →休日加算の取扱い 「イ 休日加算は次の患者について算定できる。」の(イ)客観的に休日における救急医療の確保のために診療を行っていると認められるの③に該当します。

ここがポイント!

日曜日等、休日加算の対象となる日に診療を行われた場合で、休日加算ができるときとできないときの違いは、当番医などで医師会等より頼まれて開業されている場合には休日加算は算定できます。院長先生が自ら「診療します」といわれて開業された場合には加算はできません。

夜間・早朝等加算!

A000 初診料 注9、A001 再診料 注7に規定する「夜間・早朝等加算」は、医療機関が開業している時間帯であって、定められている時間帯に加算ができます。この定められている時間帯の中に「休日」とありますので、日曜日等、休日加算の対象となる日に院長先生が自ら「診療をします」といわれて診療を行った場合には、診療開始時点からすべての患者に「夜間・早朝等加算」が算定できます。

年末年始の算定!

12月29日から1月3日までは休日加算の対象になっていますので、休日加算を算定できると思われている方もいらっしゃるかもしれません。年末年始(上記期間中)に「夜間・早朝等加算」が算定できることは意外と知られていないこともあり、算定していない医療機関もあるように思います。休日加算と夜間・早朝等加算の違いを今一度確認してみてください。

そして今年は!

今年の年末年始は12月29日が金曜日、30日が土曜日になりますので、29日または30日まで診療をされる医療機関もあると思います。診療時間中は「夜間・早朝等加算」を朝から算定できます。そして診療時間終了後に緊急にて診療を行った場合には「休日加算」を算定してください。くれぐれも間違えないように、そして損をしないように算定してくださいね。

—この記事は2017年11月に書かれたものです—

執筆:日本医業総研

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