「外来のデータ提出加算」
令和4年度診療報酬改定の告示が2022年3月4日に出されました。これをもって、令和4年度改定が決まったことになります。今回の改定ではデジタル化関連が多く盛り込まれました。先に紹介した、オンライン資格確認の評価やオンライン診療の大幅な規制緩和などが注目されましたが、政府はデータヘルス改革を目指して、外来にも「デジタル提出加算」の導入を決定しています。そこで、今回は「外来のデータ提出加算」について解説します。
外来のデータ提出加算
もともと入院の点数であった「データ提出加算」がいよいよ外来でも導入されます。今回は、生活習慣病管理料、在宅時医学管理料等、疾患別リハビリテーション料について、データに基づく適切な評価を推進する観点から、医療機関が診療報酬の請求状況、治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを、継続して厚生労働省に提出している場合の評価が新設されます。厚労省が定めるフォーマットに則ってデータを提出することで加算が得られる仕組みです。
生活習慣病管理料
(新) 外来データ提出加算 50 点(月1回)
在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料及び在宅がん医療総合診療料
(新)在宅データ提出加算 50 点(月1回)
疾患別リハビリテーション料
(新)リハビリテーションデータ提出加算 50 点(月1回)
「算定要件」としては、以下に上げる施設基準に適合しているものとして厚生局に届け出た保険医療機関において、保険医療機関における「診療報酬の請求状況」「治療管理の状況」等の診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合に50 点を所定点数に加算する。
「施設基準」は以下の通りです。
(1)外来患者に係る診療内容に関するデータを継続的かつ適切に提出 するために必要な体制が整備されていること。
(2)データ提出加算に係る届出を行っていない保険医療機関であること 。
データ提出加算とは?
データ提出加算の仕組みは、政府の用意するフォーマットに則ってデータを収集、提出することで加算が得られる仕組みです。政府が進めるデータに基づくアウトカム評価を進めるために行われるものです。これまでの入院の例で言えば、最初は加算項目として評価するのですが、改定を重ねると義務的に取り組まねばならない項目になるという流れに変わっていきます。早めに取り組めば取り組むほどメリットの大きい仕組みなのです。
外来のデータ提出加算の今後の流れ
現時点でデータ提出加算がすぐに算定できるわけではできません。厚労省は、2023年10月1日より算定開始を目指しており、具体的なスケジュールが提示されています。
- 調査実施説明資料公表後、2023年5月20日までに厚生局に届出
- 6、7月分のデータ作成(連続する2か月分のデータ)
- 8月にソフトウェアによる試行データの自己チェックした後、調査事務局に提出
- 判定の結果不備がなければ9月に通知、通知をもとに厚生局に届出
- 10月1日より算定
- 次回は10月、11月分を作成し、2024年1月提出
このように、厚労省が定めるフォーマットで連続する2か月分のデータを提出することで毎月50点が算定できるようになるのです。1回目は来年6月、7月分。2回目は10月、11月分となる予定です。
データ提出加算の算定体制
さて、クリニックがデータ提出に対応するためには、コメディカルや受付スタッフの協力を仰ぎ、データ収集・管理の仕組み構築が必要不可欠です。いきなりこの点数をとると、院長が宣言すると、多くのスタッフは「また仕事が増える」と悲鳴を上げることでしょう。そうならないためにも、日ごろの業務を見直し、スタッフの「余力を生み出す」ための準備が重要になります。仕事を減らさなければ、新たな業務に取り組めないのです。そのためには、通常業務の中から減らせるもの、効率化できるものを探し、業務効率化を進める必要があるのです。
一般的な業務効率化の流れは、①業務の見える化②標準化③タスクシフト④新ワークフローの構築、を行ったうえで、デジタルツールを導入するのが鉄則です。業務効率化を進めるためには、この順番が非常に大切ですので、ぜひ実践いただければと思います。