「聴く、見る、感じる」がクラークの基本スキル
電子カルテクラークの研修の中で、「クラークとしてのコミュニケーション」というカリキュラムを用意しています。クラークの研修なのに、なぜ、コミュニケーションがあるのかと思われるかもしれませんが、私どもは非常に大切なスキルだと考えています。
聴く、見る、感じるがクラークの基本スキル
クラークの基本スキルをご説明するとき、「聴く力」「見る力」「感じる力」を育成しますと、お伝えしています。
「聴く力」とは、患者さんとドクターの会話を聞き、それをカルテに記載する力を指しています。「見る力」とは、ドクターの診察風景(患者さんの表情や医師の手技)を見て、それをカルテに記載する力を指しています。「感じる力」とは、眼と耳から入った情報の背景にある事象を補い、カルテに記載する力を指しています。
ドクターが書いて欲しいカルテを再現するのが、クラークですから、医師と一緒に診察にあたり、見て聞いて感じ取ることが必要なのです。
話すと書くの関係がスムーズに
この「聴く・見る・感じる」スキルは、ヒトはどのようにコミュニケーションをとっているかという仕組みを理解することで、最短距離でマスターすることが可能になります。案外、コミュニケーションの仕組みは習う機会はありません。我々は、普通に話せれば良い、意味が通じれば良いと思い、疎かにしているのです。このコミュニケーションの仕組みを理解することで、相手の想いを理解したり、相手に気持ちを伝えたりすることが格段に改善されます。さらには、「話す」と「書く」ことの関係性までもがスムーズになるのです。
話すことはできるが書くのは苦手
よく「話すのはできるのですが、書くのは苦手で」と話される方がいます。書くことは話す以上に難しいですね。私もそう思います。話すと書くが一致していれば、クラークの技術は速くマスターすることができます。この「話す」と「書く」を一致させることもコミュニケーションスキルを高めることで著しく改善するのです。書くことが苦手な人は、話すことも実は苦手なのです。
耳から聴き、眼から見て、頭と心で感じとり、それらの情報を手に伝達させるという一連の流れを、コミュニケーショントレーニングを通じて向上させるのです。
全身で行うコミュニケーションの仕組みを理解する
私は「コミュニケーションは全身で行っている」と説明しています。その理由は、ネタバレになるので、研修を受けた人だけにお伝えしますが、少しだけ解説すると、「目で合図する」「目は口ほどにものをいう」といった目を利用したコミュニケーションを意味することわざがたくさんあります。このことからも、私たちは「目」でもコミュニケーションをしているのです。決して「口」と「耳」だけで会話しているわけではないのです。そのため、全身を使ってコミュニケーションを行う方法をご説明しています。この仕組みを理解することで、受講者のコミュニケーション力が飛躍的に改善しています。
このようにコミュニケーションスキルがクラークを育成する上で大切であることが分かっていただけたのではないでしょうか。なかなか、クラークが育たないという医療機関様は、まずはこのコミュニケーションの部分を見直してみてはいかがでしょうか。