いまさら聞けない「オンライン資格確認」

いよいよ2021年3月に「オンライン資格確認」が始まります。このプロジェクトは政府が進めるDX社会の実現のための施策の一つです。参加することについては義務ではありませんが、これに参加することで、医療機関にとっては大きな「業務効率化」を実現できるとされています。

 

業務効率化(1)保険証の資格確認

保険証は就職や転職などで、その都度変わります。それは月の途中であっても変更されることもあるので、「保険証を月に1度は確認する」という業務が必要となります。保険証の変更に気付かず、保険証の利用ができない状態にあれば、「資格過誤」となってしまいます。この場合は、再請求時に新しい保険証に修正する必要がありますので、患者さんに確認のお願いをする必要がありました。定期的に来院される方ならまだ良いですが、たまにしか来ない患者さんの場合は電話やメール、手紙などで確認する必要があり、もし、確認ができなければ再請求を断念せざるを得ず、未収となってしまっていたのです。

現在は医療機関は、クレジットカードのようにその場で保険証の資格を確認することができません。そこで「オンライン資格確認」を導入することで、リアルタイムに確認することが可能になるのです。オンラインで保険証の資格を確認できるようになれば、医療機関の窓口で直ちに資格が確認でき、登録間違いや確認間違い、失効した保険証による過誤請求などがなくなるのです。医療機関にとっては大きな業務効率化につながります。

また、保険証には「顔写真」はありません。その保険証が本人のものであるかは、男女の違い程度しか確認できないのが現状です。しかしながら、マイナンバーカードには顔写真がありますので、それを活用することで、医療機関において診療時における被保険者の確実な本人確認が可能になります。これで「なりすまし」や「保険証の友人間の譲渡」といった問題も解決します。さらに、転職などで保険者が変わっても新しい保険者が資格情報を登録することで、新たな健康保険証の発行を待たずに保険医療機関等で受診できるようになります。保険証の切り替わりによる、確認ミスや登録ミスも防ぐことが可能になるのです。

 

業務効率化(2)保険証の自動登録

医療事務の業務の一つに、初診時や保険が変更になった際に「保険証を登録する」業務があります。この業務は通常、保険証の情報をレセコンや電子カルテに手作業で登録するため、慣れるまでは時間がかかる業務です。(いまは保険証をスキャナーで読み込み、OCR処理でレセコンや電子カルテに入力する方法もあります。)

保険証の登録作業は、慣れればそれほど大変な作業ではありませんが、入職間もない医療事務は間違いが多く、ミスを連発して、モチベーションを下げる原因にもなっていました。入職間もない職員が保険証登録を間違えて注意されている光景をよく見かけました。また、保険証の登録業務は、正確性の問われる業務のため、保険証番号の間違いがないかを確認するため、レセプトの点検業務が欠かせませんでした。

「オンライン資格確認」は保険証の確認だけではなく、「登録業務」においても自動化が実現します。従来は、医療機関の受付では、保険証を受け取り、①保険証番号②氏名③生年月日④住所、などをレセコンや電子カルテに入力する必要がありました。オンライン資格確認を導入することで、①マイナンバーカードのICチップを「顔認証付きカードリーダー」で読み取る、②保険証の記号番号等を入力する、という2つの方法で最新の保険資格を自動的に電子カルテやレセコンに取り込むことが可能になります。これにより医療機関での保険証情報の入力間違いがほぼなくなるのです。

 

(次回に続く)

mailmaga

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