「背中で学べ」ではクラークは育たない
クラーク運用のススメ(15)
最近、すでにクラーク運用をしている診療所様から、「さらに効率化したいので、現場を見て欲しい」という要望をいただくようになりました。
実際に診療所に訪問し、クラークの様子を拝見してみると、ものすごくできるクラークさんがいらっしゃる一方で、クラークを始めたばかりで、右も左もわからず、戸惑っている見習いクラークさんがいることが分かります。
この状況では、できるクラークさんと見習いクラークさんの差が激しいために、診療所全体では、著しく効率が落ちてしまうのだと思います。また、できないままクラークをさせられている見習いさんは、「いつになったらできるようになるのだろう?」と途方に暮れていることでしょう。
この様子は、「クラーク運用がいまいち上手く行かない」とご相談される診療所で多く見受けられます。
その原因は、クラークに関するスキルを、「個人の経験」と「慣れ」に依存してしまっているため、職人のような学習システムになってしまっているのです。いわゆる「背中で学べ」というわけです。
実際、多くのクラークの現場では先輩の後ろについて、技術を盗むという教育方法がよく見受けられます。この方法では、カンが良い方しか一人前にはならず、多くのリタイアを生み出してしまいます。
ここで重要なのは、先輩クラークの技術をモデル化(標準化)し、誰でもわかる形にしてから、見習いクラークに教える必要があるのです。
このモデル化、標準化こそが、クラーク運用を軌道に載せるための最も重要な秘訣なのです。
私どもの研修でも、診療スタイルおよびカルテの記載内容を確認したのちに研修を行うようにしています。また、クラークのスキルをマスターしていただく傍ら、「仕組み化」というクラークルールを決めるフェーズを用意しています。診療所の仕組みとしてクラークを導入することが重要だと考えているのです。
執筆:大西