「聞く」「見る」「感じる」スキルを磨こう
クラークが現場で生き生きと働くために重要なスキルは、「聞く」「見る」「感じる」の3つのスキルです。これらのスキルがなければ、クラーク業務を楽しいと考えることができません。ちなみに仕事を楽しいと考えるためには、自らが確実に成長していると思える良い成功体験が必要となります。
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聞くスキル
聞くスキルとは、耳から入った情報を文字に変換するスキルのことです。
クラークは、医師と患者のやり取りをカルテに書き起こす仕事ですが、聞こえた情報をただひたすらに打ち込めば良いというわけではありません。カルテは速記録ではありません。あくまで、診療に際して要点をまとめたものとなります。そのため、カルテに書くべき情報を事前に医師とすり合わせしておく必要があるのです。
また、最初のうちは、医療用語に耳が慣れていませんので、情報を正確に捉えることが難しいかもしれません。医療用語が外国語のように聞こえてしまうかもしれません。そこで、医療用語やよくある疾患などについて事前に勉強しておくことも大切です。
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見るスキル
見るスキルとは、目から入った情報を文字に変換するスキルのことです。
カルテに記載すべき情報は、すべて言葉に変換されているわけではありません。われわれ人間は言語と非言語でコミュニケーションを行っており、言葉にできないけれども態度に出ているというケースも存在します。そこで、目から入る情報も大切にして欲しいのです。具体的には、部位の確認や患者の行動(歩き方、痛がり方、姿勢)などをよく観察して欲しいのです。
最初のうちは、情報を漏れなく記載しよう、間違えないようにしようと、電子カルテに必死に向かうあまり、画面ばかり見てしまい、患者を見る余裕はないかもしれません。
ただし、ある程度慣れてきたら患者を見る習慣をつけるようにしましょう。これができるようになることで、診療行為と診療報酬の適合が理解できるようになり、カルテの間違いが自然と減っていくのです。見る練習は日常生活でもできますので、日ごろから患者を観察する練習を続けてください。
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感じるスキル
感じるスキルとは、相手が考えていることを想像するスキルです。
患者が何を考えているのか、医師が次に何をして欲しいのか。それらをいつも考えて行動して欲しいのです。言い換えればこれは先回りするスキルと言えるかもしれません。
具体的には、患者の訴えから、あらかじめ疾患を予測し、どんな検査が必要で、どんな治療が行われるか予測して欲しいのです。例えば、患者が腹痛を訴えていれば、腹部のレントゲンやエコーで患部を確認し、血液検査で炎症反応を確認するのではないかと予想することで、先回りができるようになるのです。
最初のうちは、予測することは難しいかもしれません。少し慣れてきたら、問診票を見て必要な検査を予想する練習を行ってください。この問診票を見て理解するか、何も見ずに機械的に回すかで、感じるスキルは変わってきます。