採用難を乗り切るためのヒント

採用難が深刻に

最近、クリニックで採用が難しくなったという声をよく聞くようになりました。その原因は、少子高齢化によって、生産労働人口(15歳~64歳)が急激に減少していること、物価の上昇を受けて、医療以外の業界で賃金の上昇が見られること、医療事務専門学校などに進む生徒の減少、転職のしやすい社会、などが挙げられます。このような時代に、どうすれば魅力的な人材を集めることができるのでしょうか。

 

採用に妥協すると…

何とかスタッフを確保しようと、院長はハローワークに募集を出したり、募集用のホームページを作ったり、有料の紹介会社にお願いしたり、様々なできる限りの取組をします。

お金をかけて、やっと採用した人材なのですが、「なんとなく自院のスタッフと合わない気がする」と感じているものの、妥協してとりあえず採用してみる。そんなことが起きていないでしょうか。

妥協してとってしまったスタッフは、様々な問題を引き起こします。組織の雰囲気を乱したり、患者さんともめごとを引き起こしたり、陰で不平不満をいったり、いつも給料やお金のことばかり話していたり。採用に妥協すると、院長・スタッフは目の前の事象の収拾に奮闘しなければならないのです。

 

採用とは何か、良い組織とは何か

改めて、「採用」とは何でしょうか。それは、クリニックのビジョンを実現するために仲間を募ることに他なりません。また、「良い組織」とは、ミッションに共感できるチームです。つまり、クリニックの理念やクレドに共感する人材を採用する必要があるため、事前にミスマッチが起きないよう、採用活動の中に理念やクレドの説明をしっかり盛り込むべきなのです。

 

採用活動を行う準備

さて、採用活動を行う際に準備しなくてはならないステップがあります。①理念の言語化②採用計画・ペルソナの設定③職場の魅力の言語化④採用サイトの構築⑤クリニック説明・資料の作成⑥面接トレーニング―などです。(ペルソナとはターゲットに似た言葉で、採用したい人物像を具体的に条件に落とし込んだものです)このなかで大切なのは、①~③です。理念に沿ったペルソナを設定し、それらを踏まえて職場の魅力を伝えるのです。

職場の魅力を伝えることで、採用しやすくなり、職場と新規人材のミスマッチが減少するのではないかと考えます。これはホームページでも、クリニックの説明資料でも同じです。この情報が盛り込まれていなければ、クリニックの応募の動機が生まれませんし、仮に採用できてもクリニックの入職後に「こんな職場だとは思わなかった」とミスマッチが起きてしまうのです。

 

衛生要因と動機付け要因

 求職者が職場選びで参考にすることはどんなことでしょうか。賃金や休日・残業、人間関係など働きやすい環境のことを「衛生要因」と呼びます。一方、仕事の達成感や承認(ほめる)、仲間への貢献、自己の成長なども職場に求めることです。これを「動機付け要因」と呼びます。これらはマズローの欲求5段階説から導き出されたものです。

 

よく見る採用ページは、衛生要因は書かれていますが、動機付け要因は書かれていないように感じます。つまり、条件は良さそうだけどやりがいや長く務める価値はわからないと思われているのです。是非、職場の魅力として動機付け要因を盛り込んでほしいのです。これこそが魅力的な職場を言語するために重要な考え方なのです。

mailmaga

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