クラークのスキルアップのための「疾患の理解」

現在、クリニックの電子カルテの普及率が5割程度、大規模病院では8割程度となっています。今後は中小規模病院、診療所で増加が見込まれています。日々、システム選定・導入のお手伝いをする中で、医師から伺う要望に変化が見られるようになってきました。

「電子カルテの入力が負担に感じる」「書類作成を効率化したい」「患者に向き合って診察したい」という声をお聞きするようになったのです。そこで注目したのが、医療クラークを活用した電子カルテの運用方法です。

 

2013年に電子カルテクラーク養成講座を開講

診療報酬点数の加算によって、病院では「医師事務作業補助者(医療クラーク)」の採用・育成が進んでいます。約1/3の病院でクラークの配置が行われています。いまのところ、診療所は診療報酬点数の対象になっていませんが、診療所でも医療クラークの採用により大きな効果が見込めるのではないかと考え、すでにクラーク運用を行っている診療所や中小規模病院の方々にご協力をいただき、2013年に「電子カルテクラーク養成講座」を開講いたしました。

 

約10年間で2000名を超える卒業生

2013年9月の開講から約10年間で延べ2000名を超える方々に受講いただいております。現在は「電子カルテクラーク導入プログラム」として、通学型の講座だけでなく、実際に診療所や中小規模病院に訪問し現場に適したクラーク運用の導入指導も行っています。

 

診療科別「疾患の理解

 講座開講から10年が経ち、より現場の運用にあったトレーニングを行うために、プログラムの見直しを行いました。それは診療科ごとに代表的な「疾患の理解」を行い、診療パターンを覚えることをカリキュラムに加えたのです。

疾患の代表的症状、発症原因、検査・画像、治療方法を理解することで、医師の診察の流れの意味を理解し、イメージすることが可能となったのです。その結果、SOAPに振り分ける技術、必要な検査や処方を先読みする技術の習得がしやすくなったと考えます。以下に基本的なカリキュラム例と診療科ごとの主たる疾患を挙げましたので、参考になさってください。

 

<研修カリキュラム(例:全4回の場合)>

1回目 クラーク導入の目的/カルテの仕組み/カルテ記載トレーニング

2回目 クラークの仕組み/医療用語/代行入力トレーニング(1)

3回目 疾患の理解(1)/コミュニケーション/代行入力トレーニング(2)

4回目 疾患の理解(2)/運用ルール/最終シミュレーション

 

<疾患の理解(例)>

内科の場合…かぜ症状、インフルエンザ、COVID-19、生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)、消化器疾患(胃潰瘍、大腸ポリープなど)、循環器疾患(不整脈、心不全など)、呼吸器疾患(喘息、COPDなど)

耳鼻咽喉科の場合…中耳炎、外耳炎、めまい・メニエール・突発性難聴、アレルギー性鼻炎、

急性鼻炎、副鼻腔炎、急性咽頭炎、咽頭異物、睡眠時無呼吸症候群など

皮膚科の場合…アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、蕁麻疹、真菌感染症、尋常性痤瘡、水痘・帯状疱疹、ウィルス性疣贅、熱傷、脱毛症など

整形外科の場合…肩関節周囲炎、肩腱板損傷、変形性膝関節症、腰痛症、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、テニス肘、ばね指、ドケルバン病、リウマチ、骨折など

精神科の場合…うつ病、統合失調症、不眠症、パニック障害、ADHD、認知症など

mailmaga

ページの先頭へ