働き方改革と医師事務作業補助者

わが国では少子高齢化の影響から「今後の労働人口の減少」を見据えて、政府主導のもと「働き方改革」が急速に進められています。その一環として「残業を減らそう」というチャレンジが行われており、例外なく医療機関でも残業減少が進められています。

しかしながら、単に「残業」を減らそうとしても、すぐに減るものではありません。もし急に減ったならば、それはこれまで仕事を引き延ばしていたこととなります。残業の減少は結果であって、手段としての「生産性向上」が必要なのです。

 

診療報酬でのタスクシフティングの評価

生産性向上の取り組みとして①タスクシフティング②ICTの活用が有効であるとされています。この流れは来年に予定される「診療報酬改定」でも踏襲されると予想します。現場では、医師の事務業務を医師事務作業補助者(医療クラーク)に、看護師のケア業務の一部を看護助手に移行する動きが進められています。診療報酬でもタスクシフティングを支援する観点から、加算が設けられています。医療クラークの配置を評価した点数である「医師事務作業補助体制加算」は10年前に新設されました。相次ぐ点数の引き上げや対象範囲の拡大などもあり、順調に算定医療機関が増えており、いまでは約2800件(全病院の3割程度)の病院で導入されています。病院では、医師の隣に事務スタッフが配置される体制が一般的になりつつあると言えるでしょう。

 

医療クラーク配置の効果

さて、外来に医療クラークが配置された場合の効果を考えてみましょう。医療クラークは主に電子カルテを操作し、医療文書の作成、カルテの代行入力を行います。時には医師に変わって、患者さんの状況確認をすることもあるでしょう。また、事務の強みである「診療報酬点数の知識」を生かして、算定漏れの防止にも有効に作用します。医療クラークの守備範囲が広がれば広がるほど、医師業務のタスクシフティングが進みますから、現状業務に満足せずに、医師はどんどん業務移譲を進めていくと良いでしょう。

 

監査・個別指導対策として

 最近、監査や個別指導の相談が増えています。全国的に厳しくなってきている表れでしょう。監査や個別指導など指摘の多くが「カルテの記載漏れ」です。カルテの記事とコストがあっていないという指摘です。これは実際に行った診療行為がカルテにしっかりと記載されていないこと、診療報酬算定ルールに則った記録になっていないことが原因です。カルテの記載漏れは、たいていの場合、「記載の時間不足」「算定ルールの知識不足」から起きていることであり、故意に書いていないというケースはほぼありません。

紙カルテの時代は、指摘がなかったのに、電子カルテになったら指摘を受けると感じる方もいるかもしれません。それは大目に見ていただいただけと考えてほしく、今の状態が正常なのです。中には、手書きのカルテのために「記載が不明瞭」と指摘されることもあります。

 

クラーク教育はカルテ記載と算定ルールと電子カルテの操作を中心に

このようにクラークに求められるスキルは、「カルテの記載」「診療報酬の算定知識」、そして「電子カルテの操作」となり、わたしどもの教育もこの3つのスキルに加えて、現場の医療知識も含めて行っています。つまり、「現場で行われている診療行為を算定ルールに則り正しく速やかに記載する」という単純なことなのです。それにはやはりしっかりとした「教育」が必要になっています。是非、私どもで行っている「E-ランニング・電子カルテクラーク養成講座(入門編)」や「訪問研修・電子カルテクラーク養成プログラム」を活用して欲しいと考えます。

mailmaga

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