AIやロボットが普及すると医療事務はなくなる?!
クラークこぼれ話
「医療事務」はAIやロボットによる代替可能性の高い仕事
政府が進める働き方改革では我が国の「生産性向上」を目指して、AIやロボットの推進を後押ししています。AIなどの普及が進むことで、10年〜20年後にはさまざまな職種がなくなるといわれています。「医療事務」の仕事は、野村総合研究所が発表した「人工知能やロボット等による代替可能性が高い 100 種の職業(https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf)」の中でも挙げられています。代替可能性の高い理由としては、「必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業については、人工知能等で代替できる可能性が高い傾向が確認できた」としています。
医療事務の業務内容は自動化されつつある
現在、電子カルテが普及したことで、「カルテを解読しレセコンに入力する(レセプト入力)」業務はなくなりつつあります。また今後は、自動受付機が普及したり、保険証にICチップが埋め込まれたりすれば、受付や保険証を登録する仕事もなくなります。さらに、自動精算機の普及で、会計業務もなくなっていくことでしょう。レセプト点検業務ですら、支払基金が2020年よりコンピュータチェックの割合を高め、AIを導入することを発表しています。そのチェックシステム自体も医療機関に公開するとしていますから、いずれは医療機関側もコンピュータチェックの導入が進んでいくことでしょう。受付、レセプト入力、会計、レセプトチェックという医療事務業務が、急速にシステムにとって代わられてきているのです。
クラーク(医師事務作業補助者)は生き残る仕事
一方で、先に挙げた野村総研のレポートでは、「芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、人工知能等での代替は難しい傾向がある」としています。わたしどもが育成しているクラークという仕事は、医師と協調し、患者の様態を理解して、電子カルテに代行入力する業務であり、生き残っていく仕事と言えるのではないでしょうか。
時代の変化に対応するために、新たな業務にチャレンジする
医療以外の分野でも、受付や会計の業務が実際に消滅してしまっていることが分かります。たとえば、駅で切符を切る光景はなくなりました。切符を購入するのも自動発券機にほとんど移りました。飲食店では、iPadなどのタブレットで直接注文することが多くなってきています。ホテルの会計も自動精算機の普及が着実に増えています。いまはその職業があっても10年後にはなくなっているという感覚が分かるのではないでしょうか。「あの時、未来の変化に向けて勉強しておけばよかった」とならないように、早い段階でこれからの職種である「クラーク」という仕事にチャレンジして欲しいものです。
執筆:MICTコンサルティング 大西 大輔