気をつけたい算定漏れ~診察料Part2~

今回は、前回の診察料の続きです。

1つの医療機関で、複数の診療科を標榜していることってありますよね。そしてそれぞれの専門医がいて診療を行っている場合は、同日に2つ目の診療科まで診察料が算定できます。

※診察料以外の診療行為に対する点数は、受診したすべての科で算定できます。処方せん料も、医師ごとに算定可能です。

例えば内科と耳鼻咽喉科を標榜していて、別々の専門医がいる場合は下記のような算定になります。ただし異なる疾患で受診された場合に限りますのでご注意ください。(関連のある疾患の場合は、診察料はどちらか片方のみの科でしか算定できません)

同日複数科初診料、同日複数科再診料

同日複数科初診料(141点)、同日複数科再診料(36点)という点数があります。同日に複数科を受診された場合は、点数は逓減されますが、2つ目の科まで診察料が算定できます。(3つ目からは診察料は算定できません)

例えば内科と耳鼻咽喉科を標榜している医療機関で、同一日に両方の診療科を受診した場合には次のような算定になります。

内科と耳鼻科を同日に受診された場合の診察料

 

2科とも初診

2科とも再診

1つ目再診
2つ目初診

1つ目初診
2つ目再診

内科 (1つ目)

282点

72点

72点

141点

耳鼻咽喉科(2つ目)

141点

36点

141点

72点

※ 初診料6歳以上282点・6歳未満(5歳まで)357点、再診料6歳以上72点・6歳未110点
 (複数科初診料、複数科再診料には年齢に対する加算や時間外等の加算はありません)

大切!

例えば、いつも内科で受診している患者様が、今日は内科にはかからずに耳鼻咽喉科のみで受診した場合には、耳鼻咽喉科での受診は初めてであっても、再診料(72点)の算定になります。

同日複数科初診料(同日複数科再診料)は、その名の通り「同日に複数科を受診した場合の初診料(または再診料)」になりますので、同日に他科も受診していることがポイントです。

診察料は診療科ごとではなく医療機関ごとに考えるものですので、この医療機関に初めて受診するか、通院中かで判断します。

算定点数の組み合わせ

これらの組み合わせはありません

・初診料282点と再診料72点の組み合わせ

・複数科初診料141点と複数科再診料36点の組み合わせ  

・初診料282点と複数科再診料36点の組み合わせ

確認!

同日に3つの科を受診した場合、3つ目の診療科では診察料は算定できない」の確認です。

同日複数科初診料は、1ヶ月中に何回でも算定することは可能です。例えば、内科と耳鼻咽喉科、皮膚科、外科を標榜している場合の算定例です。(6歳以上の場合)

 

・1月10日

(1つ目) 内科    初診 → 初診料    282点

(2つ目) 耳鼻咽喉科 初診 → 複数科初診料 141点

(3つ目) 皮膚科   初診 → 診察料の算定 なし

・1月17日

(1つ目) 内科  再診 → 再診料     72点

(2つ目) 外科  初診 → 複数科初診料 141点

 

このように、1月中に複数科初診料を2回算定することもできますので解釈を間違えないでくださいね。

レセプトの記載事項!

同日複数科初診料または同日複数科再診料を算定した場合は、レセプトの摘要欄に「同日複数科初診料(または同日複数科再診料)」と記載の上、受診した診療科名と点数の記載も必要です。

小児の初再診料

初診料、再診料には6歳未満(5歳まで)の乳幼児加算(年齢加算)があります。医療費は大人よりも子ども(5歳まで)の方が高い料金設定になっていますので、乳幼児の場合は決められている点数に年齢加算をくわえて算定します。

小児科は特別

診療科が小児科の場合や小児科を標榜している医療機関の場合には、診療時間内であっても時間外等加算をした高い点数が算定できることがあります。

小児科には通常の時間外加算、休日加算、深夜加算に加えて「小児科特例加算」があります。

また小児科での注意事項としては、年齢加算と時間外等加算を同時に加算しない(できない)ことです。

小児科での診察料

・6歳未満の年齢加算

初診時

75点

再診時

38点

・時間外等加算

 

時間外

休日

深夜

初診時

200点

365点

695点

再診時

135点

260点

590点

・小児科特例加算

初診時

200点

再診時

135点

・小児科外来診療料

 

時間外

休日

深夜

初診時

85点

250点

580点

再診時

65点

190点

520点

※3歳未満(2歳まで)の小児科外来診療料を算定している場合でも加算はできます

表の解説

診察料には、年齢による加算と時間外等加算があります。

年齢による加算は、6歳未満(5歳まで)が対象です

時間外等加算は、

時間外 … 表示する診療時間以外

休日  … 日曜日および国民の祝日と12月29日~31日、1月1日~3日

深夜  … 午後10時~翌午前6時まで

・6歳未満の年齢加算は、年齢による加算分のみになります

・時間外等加算には、年齢による加算と時間に対する加算が合わさって決められている点数です

・小児科特例加算は、小児科を標榜している医療機関であれば小児科以外の診療科を受診した場合であっても、6歳未満(5歳まで)の患者に加算できるもので、夜間、休日、深夜に診療を行っている場合が対象になります。(「診療します」と言っているのに、時間外等の加算ができる)

※6歳以上の患者には「夜間・早朝等加算50点」が加算できます(週30時間以上診療していること)

※夜間とは
平日:午後6時~午後8時、土曜:午後12時~午後10時、早朝:午前6時~午前8時

 

・小児科外来診療料は、すでに年齢による加算がされているので、この場合は6歳以上の時間に対する加算分のみをします(※深夜加算は+100点になっています)

【参考までに】

・ 6歳以上の時間加算

 

時間外

休日

※深夜

初診時

85点

250点

480点

再診時

65点

190点

420点

 

2回にわたっての内容はいかがでしたか。同日複数科初診料、同日複数科再診料も誤解しやすい点数ですし、小児科外来診療料を算定している場合の加算や小児科特例加算については、少し分かりにくいところがありますよね。

特に小児科外来診療料にも加算ができることや、加算点数が異なること、また小児科特例加算は、小児科を標榜している医療機関であれば小児科以外の診療科でも加算ができるなど、意外と知らないこともあったのではないでしょうか。少しでもお役に立てれば幸いです。

—この記事は2018年2月に書かれたものです—

執筆:日本医業総研

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