クラークが診療現場に馴染むために大切なポイント
クラーク運用のススメ(16)
医師の隣で電子カルテ操作を担うクラークは、受付業務よりもストレスの溜まる仕事です。医師の隣に座るだけで緊張する方もいらっしゃいますし、診察室の独特な雰囲気に戸惑うこともはじめのうちはあろうかと思います。それでは、どうすればクラークがスムーズに、診療の現場に馴染み、ストレスを軽減し、実力を発揮できるようになるのでしょうか。
1 シフト制(交代制)
クラークは1人に固定するのではなく、できるだけ複数人で回すことをお勧めします。クラークは緊張感の中で、持続的な集中力が必要な仕事です。そこで、できるだけ短い時間で交代できる勤務体制が重要となります。たとえば、クリニックによっては午前と午後に分けてクラークを交代しているところや、2時間ごとに交代しているところがあります。
このように小まめに交代することで、集中力を維持し、ストレスを軽減しているようです。
2 答合せはしっかりしよう
クラークが配置された当初に戸惑うことは、 医師の思いに上手く応えられないという悩みです。医師はどんなカルテを書いてほしいのか、どんな内容を記載すれば正しいのか。これが分からないのです。わたしは研修の中で、医師にカルテのサンプルをいただき、それをもとに研修を行っています。これは答を先に教えておけば、クラークの勉強がスムーズに進むためです。また、診察終了後に医師とクラークが正しいカルテについて、話し合うことも大切です。このことは、テストの答合せに似ています。診療機会ごとにカルテが作成され、カルテを代行入力した結果を答合せする仕組みが必要なのです。これを定期的にしなければ、クラークの力は上がりません。ここで重要なのは、指摘の仕方と指摘の受け取り方です。共通意識を持つことでより良いカルテにするという、すり合わせ作業は、信頼関係が大切です。日ごろから信頼関係を構築できる言動を心がけると良いと思います。
3 声に出して「承認」する
クラークが記載した内容を医師が「承認する」という行為は非常に大切です。人間には承認欲求があります。クラークにとって、恐る恐るカルテを入力する中で、医師から「ちゃんと入力できているね」と、承認が出るときにかなり、満足感と安心感があがります。
そこで、この承認作業をしっかり声に出してやって欲しいのです。診療機会の数だけ、承認するタイミングがあります。これは信頼関係の積み重ね作業です。
しかし、これを疎かにすると、クラークの不満・不安につながり、信頼関係が上手に構築できないのです。
ポイント
1 複数人による「シフト制」で緊張、ストレスを軽減する
2 診療終了後に「答合せ」を行い、ゴールのすり合わせをする
3 しっかり「承認する」ことで、信頼関係が向上する
執筆:大西