気をつけたい算定漏れ~血液検査編~

医療事務の基礎知識(9)

今回は血液検査のお話をさせていただきます。血液検査の中でも、比較的よく出てくる項目にしますね。カルテに『血算』と書いてありましたら『末梢血液一般検査』のことです。算定もれのないように。

外来迅速検体検査加算

最近では院内に検査機器を置いているクリニックもありますので、これによって外来迅速検体検査加算(外迅検)を算定されている医療機関様もあると思います。外迅検の算定ができるときと、できないときを勘違いされていませんか?算定もれで損をしないように、ここで確認しておきたいと思います。

外迅検が算定できる項目は厚生労働大臣によって定められています(下記表を参照)。

1回の検査で外迅検が算定できる項目だけを検査した場合は、行った検査項目すべての結果が検査した同日に文書で報告できないと算定できません。しかし外迅検が算定できる項目と算定できない項目を併せて行った場合には、外迅検が算定できる項目だけを検査した同日に文書で報告できれば算定可能です。

ここでの注意点は、生化学(Ⅰ)のまるめ項目のほとんどが対象になっていますので、外注に出した日は算定できないと思い込んでいる方が多いように思います。算定できない項目は、外注に出しても、結果が後日の説明になっても関係ありません。算定できる項目と、算定できない項目を今一度確認してみてください。

表:外来迅速検体検査加算の対象項目

D000 尿一般

D002 尿沈渣(鏡検法)   (*D002-2尿沈渣のフローサイトメトリー法は対象外です

D003 糞便検査「7」糞便中ヘモグロビン

D005 血液形態・機能検査「1」ESR

            「5」末梢血液一般検査

            「9」ヘモグロビンA1c(HbA1c)

D006 出血・凝固検査「2」PT

         「11」FDP定性・半定量・定量

         「20」Dダイマー (*15」Dダイマー定性と「17」半定量は対象外です

D007 血液化学検査

「1」総ビリルビン、総蛋白、アルブミン、尿素窒素、クレアチニン、

尿酸、ALP、ChE、γ-GT、中性脂肪、ナトリウム及びクロール、

カリウム、カルシウム、グルコース、LD、CK

        「3」HDL-コレステロール、総コレステロール、AST、ALT

       「4」LDL-コレステロール

       「18」グリコアルブミン                    

D008 内分泌学的検査「9」TSH

         「15」FT、FT

D009 腫瘍マーカー「2」CEA

         「3」AFP

         「6」前立腺特異抗原(PSA)、CA19-9

D015 血漿蛋白免疫学的検査「1」CRP (*CRPの定性は対象外です

D017 排泄物,滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査「3」その他のもの (「1」と「2」は対象外)

★血糖(グルコース)は対象ですが、血糖の試験紙法は外迅検の対象外です。

例えば

例1 すべての検査が外迅検の対象検査の場合

  (すべての検査結果に対して文書を交付して説明を行わないと、外迅検は全く算定できません)

例2 外迅検の対象検査と対象外の検査が混在する場合

  (外迅検の対象となっている検査に対してのみ文書を交付して説明を行えば、外迅検は算定できる)

算定時には要確認!

よく行われる検査の項目で、審査が厳しい項目が「尿沈渣」「末梢血液像」「CRP」といった炎症反応をみる検査です。これらを行ったときにはそれなりの傷病名が必要ですので、スクリーニング項目には入れられずに、必要なときに加えられることをお勧めします。また付けられる炎症病名も「発熱」や「疼痛」といった状態や症状を傷病名にしたり、「膀胱炎の疑い」や「肝炎の疑い」といった明らかに保険病名と思われるような傷病名は認められませんのでご留意ください。

末梢血液像に対しても「貧血」と付けられているレセプトをよく見かけますが、貧血は赤血球の数やヘモグロビン濃度を見て診断します。でも末梢血液像は白血球の種類や赤血球の形、血小板の形などを調べていますので、これだけでは適応病名にはなりません。当たり前のことですが、検査項目はセットを組んで皆に同じ項目を行うのではなく、必要な患者様に必要な項目を選んで行うものです。

現在、検査項目とその検査に対する傷病名をパターン化されている医療機関様はこれを機会に見直しされてはいかがでしょうか。

検査を行うときにはその検査を必要と考えた根拠を、また検査結果に対してはその後の方針を判断した内容を、カルテに記載することが大切です。記載がされていないと検査料や判断料を返金するよう求められることもありますので合わせてご留意ください。

執筆:日本医業総研

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