気をつけたい算定漏れ~精神科編~

医療事務の基礎知識(8)

今回は、精神科でのお話しをさせていただきます。
ちょっと特殊で専門分野になってしまいますが、関係者の方々は参考にしてください。

お知らせ!アモバンとデパスが30日分処方に

2016年10月14日から、アモバン(ゾピクロン)とデパス(エチゾラム)が向精神薬に指定されました。これによって、2016年11月1日の処方分から、1回に処方できる日数が30日分までと制限されます。

この2剤(特にデパス)はよく処方される薬剤で、診療科を問わず処方されることもあると思いますので、十分にお気をつけください。

商品名 一般名 変更前 変更後
アモバン ゾピクロン 習慣性医薬品 向精神薬
デパス エチゾラム なし

向精神薬になるのは10月14日ですが、30日の処方日数制限は11月1日からになります。ちなみに10月発行で11月受付の処方せんに関しては、処方制限は適用されません。11月発行の処方せんから日数制限スタートです。

通院・在宅精神療法

精神科でメインとなる算定項目は通院・在宅精神療法ですが、通院・在宅精神療法を算定するときの傷病名にお気をつけください。認められる傷病名は複数ありますが、たまに主病名が抜けていることもありますのでしっかり確認してくださいね。通院・在宅精神療法を初診の日に算定する場合は、診療に要した時間が30分を超えていることが条件の一つになっています。また週1回を限度として算定するというルールもありますので、同一週に2回以上は算定できません。(退院後4週間以内の期間を除く)※1週は日曜日~土曜日

初診時に算定する点数ですが、イ.精神保健指定医が行った場合600点 と、ロ.それ以外の場合400点 があります。以前は精神保健指定医であれば、高い方の600点が算定できました。しかし2014年4月の改定で「精神保健指定医であり、さらに3つの条件のうち2つ以上を満たしていること」という文言が追加されましたので、精神保健指定医というだけでは600点は算定できなくなってしまい、これは大きなマイナスです。追加された条件も診療所で満たすことは容易ではないため、今までのように算定できている診療所は限られてしまったと思われます。(追加された3つの条件は、点数表 I002 通院・在宅精神療法の通知部分(11)をご確認ください。医学通信社2016年4月版ではP550右側)

精神科での算定項目

精神科やメンタルクリニックでの算定項目は、通院・在宅精神療法以外にも算定できる項目はあります。「I003 標準型精神分析療法」や「I003-2 認知療法・認知行動療法」です。算定要件には診療に要した時間や、算定回数に限度もありますので、算定されるときにはよく要件を確認して算定してください。ちなみに、この2つの項目は B000 特定疾患療養管理料と同月に併用算定可です。

抗うつ薬について

抗うつ薬の中で昔の三環系、四環系は「躁うつ病」「双極性障害」でも認められる傾向にありますが、最近のNaSSAなどは「うつ病」「うつ状態」の傷病名が必要です。「うつ病」や「うつ状態」の傷病名が必要な薬剤は、

・リフレックス

・レメロン

・パキシルCR

・サインバルタ

・ルボックス

・ジェイゾロフト

・レクサプロ

などです。院外処方の場合、薬剤料の減点は医療機関からになりますので、傷病名の確認は念入りに行ってください。損をしないように!! 大切なことですね。

向精神薬多剤投与

精神科の場合は、処方薬剤が多くなってしまうことがあります。最近は多すぎない処方をされている先生方もいらっしゃいますが、昔からかかっている患者様はどうしても多くなっている傾向にあると思われます。現在は向精神薬多剤投与が、それぞれ3種類以上の場合とされていますので、これを超えた場合には処方料や処方せん料の点数が下がってしまいます。または別紙様式39や別紙様式40用いて地方厚生(支)局長に届け出や報告をする必要がありますので手間もかかります。減点にならないように、処方薬をどうやって減らしていくかということは課題の一つでもあると思います。2016年4月の改定で「B008-2 薬剤総合評価調整管理料 250点」が新設されました。これによって、薬剤を減らすことは増点にもつながりますので、今一度見直してみてはいかがでしょうか。

精神科、メンタルクリニックでのお仕事

精神科やメンタルクリニックって聞くと、興味はあっても仕事をするのはちょっと…と躊躇する方もいるのではないでしょうか。確かに公費が多いので保険制度が理解されていないと大変だと思います。また、些細なことでも患者様を傷つけてしまう場合がありますので、気配りや心配り、言葉遣いなどは他の診療科以上に大切と言えるかもしれません。ですが意外とふつうの方が患者様でいらしていますので、ふつうに対応しても大丈夫なことが多いです。ポイントは『特別』ではなく、ふつうプラス優しい思いやりが一番だと思います。目には見えない「こころの病」。理解することは難しいかもしれませんが、いろんな意味で学ぶことが多い診療科ですから勉強にはなると思います。

執筆:日本医業総研

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