「クラークを生かすも殺すもセット次第」

セットを上手に作れば効率的になる

開業時のクラーク研修の中で、電子カルテの「セット」についてのレクチャーがあります。このセットのレクチャーは、クラーク研修の中でとても大切だと考えています。なぜなら、電子カルテのセットを上手に作ることができれば、使いやすくなりますし、クラーク業務もより速く効率的になります。クラークがうまく機能するには、このセットをどう組むかというところが大切なので、研修の中でもとても重要と考え、現場に赴き、医師にヒアリングをしながら進めています。

 

セットはメーカーによって組み方が違う

 クリニック向け電子カルテは40社以上存在します。売れ筋のものでも10社はあるでしょう。近年操作性がかなり近くなってきていますが、このセットの組み方はかなり異なるので、注意が必要です。電子カルテは決して同じではないのです。例えば、処方、検査、画像といったように項目内でセット化するものから、記事とオーダーを横断してセットが組めたり、病名まで付け加えることができたりと様々です。

 また、セットの配置についてもディレクトリータイプ、パネルタイプと様々で、この違いは、セットの出しやすさにつながります。引き出しの中をイメージしていただければ良いと思います。整理整頓された引き出しは、モノを取り出しやすいですし、整理整頓されていなければ、モノを探さなくてはならないのです。

 

誰がセットを作るのか

このセットを作る作業は、かつては電子カルテメーカーのインストラクターが行っていた業務です。オンプレミスメーカーはベテランのインストラクターが手取り足取り行ってくれます。

最近では、電子カルテのクラウド化が進み、このセッティング作業を医師自らが行うケースも増えています。医師が開業前の忙しい時間を割いて、セットをコツコツ作っている姿をよく見かけるようになりました。

このセットを作るという作業は、医師の頭の中を整理し、電子カルテに移植する作業です。できれば、ベテランの担当者を相手に壁打ちをしながら行う方が良いように感じます。第三者と相談しながら進めることが大切であるように感じます。

 

開業後のクラーク研修では、セットの見直しを行う

また、電子カルテを導入して、しばらくたってから「クラーク研修」をする際にも、開業の時に、しっかり打ち合わせをしなかったのではないかと感じるものもあります。事前にしっかり電子カルテのセッティングを行わなければ、非常に使いづらいものになってしまいます。結果として、効率的な電子カルテの活用が損なわれているのです。

そこで、開業後の「クラーク研修」の中で、セットの見直しを行うこともよくあります。現在のセットを見て、利用していないセット、古くなっているセット、新たに増やした方が良いセットを確認し、リニューアルを行っています。開業時のままのセットでは、時代に追い付いていないため、結局は使えないセット群になるためです。本来であれば、新薬が出るために見直しを行うべきものなのです。

 

クラークを生かすも殺すもセット次第

 「クラークが思うように育たない」とご相談をいただくケースで、現地に伺うと多くの場合、①セットが未整備であったり、②セットの配置をクラークが覚えていなかったり、という2つの課題があることが分かります。

前者の場合は、セットが未整備であるために、毎回、薬や検査をーから検索しており、そのために検索に時間がかかったり、医師の指示の聞き間違いにつながったりしているのです。セットを作るだけで、検索は不要になり、聞き間違いも大幅に減ります。セットを作ることはクラークの入力スピードを格段に引き上げることが可能なのです。

後者の場合は、セットの位置をクラークが把握できていない(覚えていない)ので、クラークがセットを毎回探して遅くなっているのです。マウスの矢印がグルグル回っているのを見るたびに、覚えていないから遅いのだと、残念に感じます。セット一覧を印刷し、配置を覚えるだけで格段にレベルアップが図れます。

結局、使いやすいセットを使いやすい場所に配置し、セットの位置をクラークが診療の流れの中で探せるようになることこそが、クラークの効率的な活用につながるのです。是非、一度「セットの見直し」を実践していただければと思います

mailmaga

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