個別指導に耐えうるカルテを作る

診療パターンを理解すると代行入力のスピードが上がる

電子カルテクラークの育成の研修の中で、最近重要視しているのが「疾患の理解」です。これを私どもは「診療パターンの理解」と呼んでいます。

例えば、糖尿病内科であれば、「糖尿病」「高血圧」「脂質異常症」などの疾患の流れ(主訴、発症原因、鑑別診断に必要な検査、治療方法)を説明して、医師がカルテに記載して欲しい内容を説明しています。

具体的な内容としては、「主訴」と「処方・注射・検査」、「病名」を紐づけて理解することで、患者さんの訴えから、カルテ記載イメージを予測できるようになるというトレーニングになります。よく「インプット3割、アウトプット7割が成長のコツ」と言われますが、わたしどもも座学3割、実践7割の比率で、体感しながら疾患を学んでいきます。

その効果として、疾患の仕組みを理解し、主訴を聞いて、カルテのを記載するという流れ(型)を作ることで、代行入力のスピードが格段に上がるのです。先日、研修に伺ったクリニック様にも「クラークなんてできるはずもないと思っていたけど、研修を受けると、どんどんできるようになって、びっくり」とお褒めの言葉をいただきました。加えて、「薬や病気の勉強をもっとしたい」と意欲的なご意見もいただきました。

特定疾患療養管理料の算定のポイント

電子カルテクラークのスキルとして、忘れてはならないのが、管理料の算定時の記載です。たとえば、糖尿病内科であれば、「特定疾患療養管理料」の算定ルールについて理解することが重要になります。

「特定疾患療養管理料」の算定のポイントは以下の3点です。

  • 生活習慣病等を主病とする患者について、プライマリケア機能を担う地域のかかりつけ医師が計画的に療養上の管理を行うことを評価したもの。
  • 患者に対して、治療計画に基づき、服薬、運動、栄養等の療養上の管理を行った場合に、月2回に限り算定する。
  • 管理内容の要点を診療録に記載する。
個別指導に耐えうるカルテを作る

「特定疾患療養管理料」は、厚生局が行う個別指導の際に重点的にチェックされる項目です。指導記載(P欄)について、「具体的であるか」「画一的(ワンパターン)ではないか」という観点からチェックが行われます。ここをしっかり解説することで、個別指導に強いカルテが作成できるようになると考えます。

 クラークの導入は、医師が診療に集中する環境を作り、診療スピードを上げることにありますが、併せて監査や個別指導などでカルテをチェックされたときに、しっかりとしたカルテが書けることも大切なポイントです。管理料を多く算定する診療科では、スピードよりもこちらを意識して、クラークを導入することが多いように感じます。

執筆:MICTコンサルティング  大西 大輔

mailmaga

ページの先頭へ