医療のNew Normalとは?

2020年6月現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、診療所は厳しい経営状況が報告されています。日本医師会の公表した資料「新型コロナウイルス対応下での医業経営状況等アンケート調査(3月~4月分)」によると、診療所の外来総点数は、前年同月比(4月)で17.0%減となっています。また、診療科別では、「小児科」で39.2%減、「耳鼻咽喉科」で36.6%減と大きな影響が出ています。

参考資料:新型コロナウイルス感染症対応下での医業経営状況等アンケート調査(2020 年 3~4 月分) (日本医師会)

 

■ 収入源の原因

前年より、収入源になった原因は様々あるとは思いますが、

① 外出自粛の影響で「受診控え」が進んだ

② マスク・手洗い、距離を取ることの徹底により「季節疾患の流行」が抑えられた

③ 不要不急の検査、手術の減少などで、単価が下がった

④ 長期処方を希望する患者が多く、受診頻度が減少した

⑤ 電話・オンライン診療を希望する患者が増え、外来受診頻度が減少した

などが考えられます。コロナ禍で、診療所経営は外来患者数の減少と、平均単価の低下の影響を受けているのです。

 

■緊急事態宣言の完全解除もすぐには患者は戻らない

6月現在、緊急事態宣言の完全解除を受けて外出自粛も解除され、自由な外出が可能になりました。街には少しずつ人が戻りつつありますが、診療所にはそこまで患者が戻ってきていないのが実情です。医療機関の安全性や、ウイルス対策をPRしても、すぐには患者は戻って来ていないのです。なぜ、このようなことが起きているのか。それは、新しい生活様式を勤勉に守る我が国の国民性が大きく影響していると感じます。

 

■新しい生活様式、New Normal

緊急事態宣言の解除後の生活について、政府は「新しい生活様式」を打ち出しました。同様式は、海外では「New  Normal」と呼ばれ、ウイズコロナの時代はパラダイムシフトが起きると考えられています。

参考資料:新しい生活様式の実践例(厚労省)

外出自粛が緩和されたいまでも、国民は常にウイルス感染を恐れ、第二波に備える生活をしており、マスクをして外出する、密な場所を避ける、リモートワークなど、コロナ前では考えられないライフスタイルが当り前になりつつあります。日本人の優れた「環境適応能力」が新しい社会を生み出そうとしているように感じます。

 

■医療のNew Normalとは?

いま、従来の診療所経営では難しい時代を迎えています。医療界においてもNew Normalに合わせた診療所経営が求められているのだと思います。

それでは、現状から考察される「医療のNew Normal」について、考えてみたいと思います。

① 3密対策を徹底し、安全な環境にする(患者同士、医療者同士、患者と医療者)

② 患者アクセスの選択肢を増やす(外来、在宅、オンライン)

③ 診療所での滞在時間を減らす(効率化、スピードアップ)

④ 患者説明、アドヒアランスを高める(必要な検査・処置・手術を伝える)

⑤ 労働生産性を向上させる(コストダウン、ICTの利活用)

これらの行動は、超高齢社会の中で、政府が進めようとしていた政策に合致します。それは「働き方改革」「ICTを活用した生産性向上」といった政策です。コロナ禍が終わっても、継続的に取り組む内容ですので、診療所は新しい運営形式と考えて取り組んでいただきたいところです。

mailmaga

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