電子カルテクラークは患者が多いところだけが導入するものではない

最近、「患者がそれほど多くなくてもクラークは効果はあるか」というお問い合わせをいただきます。それに対して、わたしは「患者数はそれほど大きく関係ありません」とお答えしています。患者数が多いと診療時間が短くなり、カルテ作成時間も取れなくなり、クラークが必要と感じるのは当然の流れでしょう。わたしも当初は患者が増えればクラークを置きましょうと、お伝えしてきました。しかしながら、クラーク研修を5年も行っていると、それ以外のケースもあることが分かってきました。その結果、現在では「患者数がそれほど多くなくとも、クラークを導入することで効果がある」と考えています。

電子カルテクラークの活用シーン

 電子カルテクラークの活用シーンを事例をもとにご説明しましょう。

  • 電子カルテの画面ばかり見ている医師を患者は嫌がる

パソコンがいくら得意な医師でも画面を見ないで、電子カルテの操作はできません。ましてやパソコンが苦手な医師であれば、なおさら電子カルテに向かう時間が増えてしまいます。患者はパソコンに向かう医師について、「もっと自分を見て欲しい、目を見て診療して欲しい」と感じているのです。そこで、電子カルテの操作をスタッフに一部任せることで、患者を向く時間が増え、患者の不安感を払拭できると考えます。

  • 医師の業務負担が増え、診療所全体としての効率性を損なっている

 医師が電子カルテを操作する比率が高まれば高まるほど、業務集中が生まれます。紙カルテとレセコンの運用と比べて明らかに業務が医師に集中しています。その結果、医師ばかりが働きスタッフが楽になっているのではないかという気分が生まれます。医師に業務が集中すれば、診療所全体の業務効率は下がっていると言えるのではないでしょうか。

現在、わが国では「働き方改革」が叫ばれており、診療所も例外ではありません。働き方改革のタスクシフトという考え方にのっとれば、医師、看護師、受付が業務を分担することで、効率性、生産性が高まるのではないかと考えます。

  • 同じ場所にいる時間を増やせば、ベクトルは合いやすい

 診療所経営において、医師とスタッフが一致団結して業務を行うことは非常に大切です。規模が大きくなればなるほど、ベクトル(考え方)を合わせることは大切になります。人間は同じ時間、同じ場所を共有するほど、ベクトルがそろう傾向にあります。そのメカニズムを利用することが、電子カルテクラークの導入で実現できるのです。私どもが行う研修は、医師とスタッフが一緒に受講するケースがほとんどです。この研修自体が、診療所のベクトル合わせに効果があるのです。また、日ごろから医師の隣にクラークがつくという行為は、スタッフと医師の距離をぐっと縮めることになりますから、関係が強化されるのです。

mailmaga

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