互いの仕事を知ることでチームワークが向上する

クラーク運用のススメ(19)

診療所には、医師、看護師、コメディカル、事務と大きく分けて4つの職種が存在します。これらの職種は、それぞれ自らの役割を理解し、持ち場をしっかりと守ろうとします。それ自体は良いことなのですが、それが行き過ぎると、セクショナリズムが生まれてしまいます。このセクショナリズムは、プロ意識から生まれるものですから良いことですが、診療所全体で考えると、仕事の線引きしてしまうため、組織が閉塞する原因ともなりかねない問題です。診療所はただでさえ、小さな組織ですから、お互いに助け合いの精神で、業務を行うことが大切です。

電子カルテがセクショナリズムを打破する!?

さて、このセクショナリズムを打破するカギは、電子カルテの運用方法にあります。ご存知のように、カルテは組織を横断する情報リソースであり、電子カルテは診療所の基幹システムです。電子カルテを上手く活用している診療所では、電子カルテの機能を最大限に活かして、報告、連絡、相談をしっかりと行っています。

一方で、医師だけが電子カルテに入力している診療所では、手書きメモや口頭での報告、連絡、相談と、紙カルテの時と同じような運用になっています。電子カルテがレセコンのオプションソフトとしてしか機能していません。

電子カルテのクラーク運用でコミュニケーションを活発に

電子カルテを診療所全体で操作している場合は、受付で「問診」の結果を入力し、受付あるいは看護師が患者さんの「S(主訴)」を入力、医師あるいはクラークがO(所見)とA(評価)を入力し、P(計画)をクラークが入力するという役割分担が図れます。その結果、自然と電子カルテを通した、コミュニケーションが取れていくのです。

<電子カルテの記載内容と役割分担>

問診:受診の目的(受付)
S:患者さんの訴え(受付・看護師)
O:身体所見、検査所見(医師・クラーク)
A:疑われる疾患(医師・クラーク)
P:治療方針、次回の予定(クラーク)

電子カルテを全員が操作することで、リアルタイムで患者さんの状態把握が可能になります。また、カルテに書かれた意図を、各スタッフが汲み取ることができれば、セクションごとのつながりが良くなるのです。つまり、部署毎の「機能」を最大限発揮するためには、電子カルテを通してコミュニケーションを図ることが大切なのです。

ポジションチェンジで相互理解を進める

職種ごとのつながりを良くするためには、電子カルテも大切ですが、お互いの仕事を知り合うことが大切です。どうすれば、各職種の業務理解を進めればいのでしょうか。オススメの方法は、ポジションチェンジという方法です。日頃やっていないポジションについて、実際に職種ごとの業務を体験してみるのです。(医師が患者、看護師が受付、クラークが看護師など)仕事を交換することで業務理解が深まり、つながり(情報の伝達)がよくなります。是非、試してみてください。

執筆:MICTコンサルティング  大西 大輔

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