ポストコロナに向けて、安心・安全の診療体制

この度の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響から、4月に「緊急事態宣言」が全国に出され外出自粛が進められました。その甲斐あって感染者数は減少に転じ、5月中旬以降、徐々に宣言解除が行われ、5月末には全国で緊急事態宣言が解除されました。

緊急事態宣言の解除を受けて、我が国は「新しい生活様式」を実践し、新型コロナウイルスの第2波に備えながら、経済活動を再開するという新たなステージに移ろうとしています。


■ 新型コロナウイルの医療機関への影響

3月から5月にかけては、度重なる医療機関での院内感染の報道もあり、院内感染を恐れた患者さんの間では受診抑制が進みました。地域や診療科の差はあるものの、多くの診療所で患者減少・収入減少に見舞われています。

また、緊急事態宣言が解除されたからと言って、すぐに患者さんが通常通り受診するかはわかりません。いつ何時、新型コロナウイルスの再流行が始まるかもしれないという恐れから、受診を控える傾向は続くのではないかと考えます。

 

■ 「新しい生活様式」に合わせた安心・安全な診療体制

厚生労働省ホームページでが5月4日に公表された「新しい生活様式」では、個々に感染対策を引き続き徹底し、できるだけ不要不急の外出を控え、3密(密閉・密集・密接)を避けることなどが求められています。そのような状況の中、診療所はどのような対策を行い、日々の診療活動を行えばよいのでしょうか。

それは、今回提示された「新しい生活様式」に沿って、「安心・安全な診療体制」を構築することが大切だと考えます。改善のキーワードは「3密」です。

1.密閉空間(換気の悪い密閉空間である)
2.密集場所(多くの人が密集している)
3.密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)

 

■ 「密閉空間」対策

まず「密閉」については、安心して患者さんが受診していただくために「診療環境の整備」が重要です。具体的には、定期的な空気の入れ替えは消毒の徹底、また「空気清浄機」や「次亜塩素酸水噴霧器」などの設置が有効でしょう。これらの感染対策については、ホームページなどで患者さんにアナウンスすることも忘れずに行ってください。

また、スタッフ同士の密閉を避けるために、「シフト制」を導入して、時間差出勤を行うほか、レセプト点検など数人が集まって集中的に行う業務の見直しも必要であると考えます。例えば、自動的にレセプト点検を行う「レセプト点検システム」を導入して、システムでチェックを行う体制に移行することで業務減少につながり、密集を避ける効果が出るのではないでしょうか。


■ 「密集場所」対策

次に、「密集」については、待合室の改善が考えられます。待合室の患者さんのイメージは、「長時間待つのではない」「患者さんで混雑しているのではないか」というものでしょう。この状況が続くようでは、患者さんは安心して受診することは難しいでしょう。そこで、待合室の混雑緩和に有効とされる「診察予約システム」や「順番管理システム」などを活用して、「待たせない」「混んでいない」待合室を作り出してはどうでしょうか。これらの仕組みの根幹は、自宅からスマホなどを利用してオンラインで予約が取る仕組み作りです。この仕組みを導入することで、待合室で待機する患者数を減らすとともに、患者同士のソーシャルディスタンスが確保でき、患者さんへの安心感をもたらすことが可能だと考えます。

 

■「密接場面」対策
「密接」については、「患者同士」「患者とスタッフ(医師も含む)」「スタッフ同士」の3つの接触場面を減らすことが重要です。そのためには、患者同士の距離を保てるように、待合室の席の配置を見直すことや、患者とスタッフの接触をできるだけ減らす仕組みづくりに取り組む必要があります。

例えば、患者とスタッフの接触を減少させる「自動受付機」や「自動精算機」といった受付の自動化に取り組んでみてはどうでしょうか。


また、新型コロナウイルス感染症を受けて、時限的に規制緩和が行われた電話や「オンライン診療システム」を用いた診療を始めることで、患者さんとスタッフ・医師の物理的接触が減少し、さらに患者さんの利便性が向上するではないかと考えます。

いま診療所は、3密を避けた新しい診療体制の構築が求められています。患者さんが安心して受診できる、安全な診療環境を作るために、ICTを活用して徹底的な「オペレーションの変革」を行ってはいかがでしょうか。

mailmaga

ページの先頭へ