気をつけたい算定漏れ~紹介状~

医療事務の基礎知識(16)

今回は、他の医療機関へ紹介状を書いたときの注意事項や点数についてをまとめてみました。

紹介状を書いたときの点数

患者の同意を得て紹介状を書いたときの点数は、診療情報提供料(I)250点を算定します。これは「患者1人につき月1回に限り算定する」と記載されていますが、その前に書かれている「紹介先保険医療機関ごとに」というところが大切です。紹介先医療機関の建物ごとに月1回の算定になりますので、同じ医療機関の場合は診療科が異なったり、別の医師にそれぞれ紹介状を書いた場合でも点数は250点1回のみの算定になります。そして建物が異なる別の医療機関に書いたときには、同じ月内でも250点ずつ別々に算定できますので、月に1回250点しか算定できないわけではありません。

加算について

「診療情報提供料(I)」250点に加算できる項目(点数)がいくつかあります。下記に当てはまる場合は損をしないように加算も忘れないでください。

  •  認知症の疑いがある患者に専門医療機関での鑑別診断等のために紹介した場合は100点の加算ができます。「注9」
  •  「認知症専門医療機関連携加算」 専門医療機関で「認知症の確定診断」のある患者を外来診療する医療機関が、症状増悪や療養方針の再検討が必要な場合に、その診断をした認知症専門医療機関へ紹介した場合は50点の加算ができます。(認知症専門診断管理料2を算定している医療機関であること)「注10」
  •  「精神科医連携加算」 精神科以外を標榜している医療機関で、うつ病等の精神障害の疑いにより治療患者の同意を得て精神科を標榜する医療機関に1ヶ月以内の受診の予約を行った上で紹介した場合は200点の加算ができます。「注11」
  •  「肝炎インターフェロン治療連携加算」 治療計画に基づいて肝炎インターフェロン外来治療を行う医療機関が、連携する専門医療機関へ紹介した場合は50点の加算ができます。「注12」
注意点

「診療情報提供料(I)」は、紹介先の医療機関を特定せずに診療状況を示す文書を患者に交付しただけでは算定できません。患者様が転勤等で、次の医療機関が決まっていないような場合は、診療情報提供料は算定できませんのでご留意ください。

セカンドオピニオンの場合

治療法の選択等に関して、診療を担う医師以外の医師による助言を求めるために、患者又はその家族からの申し出に基づき、治療計画や検査結果等必要な情報を添付して紹介した場合には、セカンドオピニオンとして「診療情報提供料(II)」500点が暦月1回のみ算定できます。

患者がセカンドオピニオンを希望

セカンドオピニオンを求められた医療機関側での算定は、「セカンドオピニオン外来(自費診療)」を設けていて、患者が自ら望んで受診したのであれば、自由診療(患者の自費)になります。しかし、保険医療機関を受診して保険証の提示があり、患者が保険診療を希望した場合には保険診療の取り扱いとなりますのでご留意ください。

セカンドオピニオンは、診療を担う医師以外の医師による助言を求めて、診療を担う医師に相談した上で、今までの診療計画や検査、画像診断の結果等を添付して紹介状を書いてもらいます。それらを持ってセカンドオピニオンを求める医療機関へ受診します。ここでは基本的には診療は行われません。治療方針等について、当院で出来る治療法の提案などを含めたいわばカウンセリングのようなことが行われます。ですから、このときは一般的には自費診療になります。そして、その結果を一度診療を担う医師(紹介状を書いてくれた医師)へ持ち帰り、相談した上でセカンドオピニオンを受けた医師の診療を希望する場合には、改めて紹介状を書いてもらい、それを持って初診として受診します。その後は保険診療が可能になります。

こんな場合は指導を受けます

関東信越厚生局が出されている「平成28年度に実施した個別指導において保険医療機関(医科)に改善を求めた主な指摘事項」に記載されていますので気をつけましょう。

・主治医が自らに対して情報提供したものについて算定している。

・紹介元医療機関への再受診を伴わない患者紹介の返事について算定している。

・紹介先の機関名が記載されていない。

・診療録に提供した文書の写しを添付していない。

参考までに

宛名と敬称について、参考にしていただけましたら幸いです。

・医療機関宛に書く時は、「○○病院 御中」「○○クリニック 御中」

・役職名のある宛名の場合は、「院長 ○○○○ 先生」「事務長 ○○○○ 様」

 ※医師への場合は、○○先生のあとに「御侍史」または「御机下」を付けます

・役職名のない個人の場合は、「○○○○ 先生」「医事課 ○○○○ 様」

 

—この記事は2018年3月に書かれたものです—

執筆:日本医業総研

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