気をつけたい算定漏れ~画像診断(レントゲン)料編~

医療事務の基礎知識(10)

今回は、レントゲン撮影の算定についてお話をさせていただきます。

まずは単純撮影で、左右対称の部位(耳・肘・膝など)を両側とも撮影した場合の算定についてです。

両側とも悪くて(疾患があって)両側撮影した場合と、片側だけが悪くて(疾患があって)両側撮影した場合とでは、算定点数が異なります。

両側ともに疾患があって両側撮影を行った場合には、左右別々に算定ができます。

片側だけに疾患があって、もう一方は比較対照のために撮影を行った場合には、両側合わせた撮影回数でまとめて1回として算定します(同一部位の同時撮影を行った場合と同じ扱い)。

例題で確認!

このように、別々に算定した方が点数は高くなりますので、傷病名を確認して損をしないように算定してくださいね。

乳房撮影(マンモグラフィー)の場合

乳房撮影は、専用の機器を用いて両側の乳房に対して片側につき2方向以上で撮影を行うことが原則とされていますので、両側で一連として算定をします。

ですから、両側に疾患がある場合でも、片側にしか疾患がない場合でも算定点数は同じになります。

CT、MRI撮影の場合

CTにもMRIにも点数表で撮影料のところに「一連につき」と記されています。

この一連につきを分かりやすくいうと、どこ(部位)を何枚撮影しても点数は同じという解釈になりますので、同一日、同時にCT撮影を複数部位に行っても、算定できる点数は同じです。
これはMRIでも同じことがいえます。

ですが、傷病名欄には撮影をした部位すべての傷病名が必要になりますので、記載もれのないように気をつけてください。

CTとMRIを同日(同月)に行った場合

必要があってCTとMRIの撮影を同一日に両方行った場合には、CTの点数とMRIの点数をそれぞれ算定できます。

ですが、どちらも「第3節 コンピューター断層撮影診断料」のグループになりますので、通則2の規定に従い、どちらか一方の撮影料を所定点数の100分の80にして算定することになります。

また、診断料は両方合わせて450点を暦月1回限りの算定です。

これは同月にCTとMRIを両方行った場合も同じで、後から撮影した方の撮影料を所定点数の100分の80にして算定します。

また同月にCTを2回以上、またはMRIを2回以上行った場合も同様です。(撮影部位は同じであっても、異なっていても構いません)

診療所での注意点

診療所でもCTやMRIを備えているところは増えてきています。

中でもより詳しい診断を行えるようにと、CTでは64列以上のマルチスライス型機器を、MRIでは3テスラ以上の機器を導入されている診療所もあることと思いますが、診療所の場合にはせっかくよい機器を備えられましてもCT64列以上の1000点(または1020点)、MRI3テスラ以上の1600点(または1620点)は算定できません。

これらの点数は、算定要件の一つに「画像診断管理加算2の施設基準を満たしていること」とあり、その画像診断管理加算2の施設基準の中に「放射線科を標榜している病院であること」とありますので、残念ながら診療所では算定することができないことになります。

この場合、CTは900点、MRIは1330点で算定します。ちょっぴり損をした気分になりますね。

同一の部位

撮影のとき部位的な一致に加え、胸椎下部と腰椎上部のように同一フィルム面に撮影できる範囲を同一部位といい、このときの算定は一連になります。(全部合わせて1回として算定する)

単純撮影の場合は、胸部と肋骨は一連になります。腰と骨盤も一連になります。(腰と股関節は別々に算定できます)

カルテの記載

レントゲンを撮るときは撮影部位がカルテに書いてあると思いますが、ここにも注意点があります。

単純撮影のとき、カルテに「腰部」と書いてあっても、「腰椎」と書いてあっても同じことで、撮影部位は「腰」になります。

傷病名にも「腰部脊柱管狭窄症」や「腰椎椎間板ヘルニア」と腰の病名にはどちらも使われます。

間違えないで

同じような記載でも、これが「胸部」と「胸椎」では部位が異なります。

これは撮影のときに、「胸部」は前から撮影をしますが、「胸椎」は後ろから撮影を行うため、別の部位として認められ算定も別々にできるのです。

ただし、胸部と胸椎(背部でも可)両方の傷病名が必要です。

 

このように同じ撮影を行っても、傷病名によって算定点数が異なったり、撮影部位の記載のしかたでも点数が変わってきます。

また撮影機器の種類によっても部位ごとに算定できたり、一連の算定で1回分しか算定できなかったりとさまざまですので、カルテをよくみて間違えないように気をつけてください。

執筆:日本医業総研

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