気をつけたい算定の誤りと算定漏れ~糖尿病編~

医療事務の基礎知識(4)

今回は、糖尿病(DM)に注目して、算定漏れになりやすいポイントを解説します。

糖尿病で減点されてしまう場合とは?

糖尿病の患者さんによく行われる「在宅自己注射指導管理料」の算定で気をつけるポイントは、「在宅自己注射の導入前に、入院または週2回以上の外来、往診もしくは訪問診療により、医師による十分な教育期間をとり、十分な指導を行った場合に限り算定する。」というところです。

記載のとおり、外来の場合は、自己注射の導入前に週2回以上の診察がないと算定できないということになりますので、初診の日に算定することはもちろんできませんし、診療実日数が1日や2日では算定不可となり減点されてしまいます。

医師の判断では、実際には初診の日に自己注射を開始するということもあるようですが、審査上では減点かまたは返戻されてしまいますので注意が必要です。

特に新規開院の医療機関様は審査が厳しい傾向にあるようですので、自己注射の導入前には十分な指導を行うようにお願いいたします。

実はこれは、前回の診療報酬改定で変更になった部分です。
改定内容を把握しておらず、大きな減点につながった医療機関様もありますので、ぜひこの4月の改定もしっかりと理解してください。

ここも確認!

初回の導入月から3ヶ月間は、導入初期加算として毎月500点ずつ加算ができますので、忘れずに加算してください。

そして処方の内容に変更があった場合には、さらに1回限りですが加算ができます。
(変更の都度ではありませんので解釈を間違えないようにしてください)

併用算定の注意点

糖尿病の患者様によく行われる血液学的検査のヘモグロビンA1c(HbA1c)と生化学的検査(I)のグリコアルブミンまたは1,5アンヒドロ‐D‐グルシトール(1,5AG)の3項目は、同一月中に併せて2回以上行っても、主たるもの(どれか1項目)を月1回に限り算定されます。

ただし下記については、同一月に3項目のうち2項目まで算定できます。(同じ項目を2回算定はできません)

1) 妊娠中の患者

2) 1型糖尿病の患者

3) 経口血糖降下薬の投与を開始してから6ヶ月以内の患者

4) インスリン治療(自己注射)を開始してから6ヶ月以内の患者

ここで気をつけるポイントが、電子カルテでは2項目以上を同一月に入力すると併用算定不可のエラーメッセージが出る点です。

この4つに当てはまる患者さんの場合は、もう1項目算定ができますのでしっかりと算定してください。

疑い病名では算定できない検査もある

糖尿病の患者様に、自己注射を開始するかどうかを判断するために行う血液検査が、生化学的検査(II)のインスリン(IRI)です。

そのため、この検査は糖尿病の確定病名が必要です。
「糖尿病の疑い」では認められませんのでお気をつけください。

執筆:日本医業総研

レセプトの診断、レセプト担当者のさらなる知識UPを図りたい場合はこちらをご覧下さい。
mailmaga

ページの先頭へ