クラーク育成のポイントは、パターン認識学習にあり

クラーク運用のススメ(14)

クラークは経験を積みさえすれば、自然に育つものではありません。
合理的な教育システムのもと、繰り返し反復練習を行う必要があります。
そのため、診療の合間に、時間のない中教えるのは難しく、効率よくクラークのスキルを身に着けたいと考えて、弊社に相談をいただくのだと思います。
そこで、今回は弊社が行っている研修方法について、少しだけご紹介したいと思います。

クラークの仕事は、診察室での医師と患者のやり取りを聞きながら、要点をカルテ(診療録)に記載し、診療行為に基づき「コスト」を計上することです。
やり取りを記載するだけならば、パソコンが素早く入力できればできそうですね。

しかしながら、いざやってみると、パソコンの得意な方でも、全く入力できませんし、医師の期待するカルテになりません。

そもそも完成形をイメージできなければ、違うものができてしまいますし、医師の期待するカルテにはなりません。
誰もが「こんなはずでは?」と思うかもしれませんが、それは当たり前の結果なのです。
答えも、解き方も教えずに、いきなり問題を解いている状態なのです。

「期待するカルテ」をクラークに入力してもらうためには、カルテの完成形から、俯瞰逆算して、記載のプロセスを、ひとつひとつ理解してもらう必要があるのです。
ゴールにたどりつくためには、まずゴールを知ることから始めることが必要なのです。

そこで我々が取り組んでいるのが、「パターン学習」です。
疾患ごとに、完成形のカルテを用意し、この内容を細かく説明していきます。
この数は診療科によって異なりますが、9パターンから10パターンほど基本となるものを行っています。

説明する内容は以下の通りです。(現場の医師と相談しながら、できるだけそれぞれの診療所の特性を踏まえるようにしています。)
(1)カルテに何が書いてあるのか(カルテ用語の解説)
(2)どのようなやり取りが、その文章になっているのか(行為と文章の関係)
(3)そのやり取りの中で、どのような診療報酬点数が算定できるのか(行為とコストの関係)

これらの内容を丁寧に説明していくことで、医師が期待するカルテに近づいていきます。
あらかじめ医療の知識があれば当然、説明も順調に進みますが、知識がない場合はやはり時間がかかります。根気が必要です。

これらのトレーニングを行った後には、劇的にスキルアップが図れます。
クラークはこのパターン学習によって、コツをつかみ見違えるようにカルテを作成できるようになるのです。

執筆:大西

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