気をつけたい算定漏れ~インフルエンザの算定について~

医療事務の基礎知識(20)

そろそろインフルエンザの予防注射が始まるころですね。今年のインフルエンザはどうなんでしょうか、流行が気になりますが猛威を振るうのはご遠慮いただきたいものです。

採取料も忘れずに

インフルエンザの一般的な検査として行われている迅速診断キットによる検査を行ったときには、検査料とは別に、検体採取料の「鼻腔・咽頭拭い液採取 5点」も忘れずに算定してください。また、インフルエンザの検査と溶連菌の検査を同日に行うことは認められていますが、この採取料は1日につき1回の算定になりますので、同日にインフルエンザの検査と溶連菌の検査を行っても採取料は1回しか算定できません。もちろん同日にインフルエンザの検査を2回行っても1回だけの算定になります。

 

検査に対する傷病名

インフルエンザの検査は、発症後48時間以内に実施した場合に限り算定することができます。

検査をするタイミングによっては、感染をしていても陰性になる場合があるようですから、連日で検査を行うなんてことも実際にはありますね。このような場合には、傷病名に「インフルエンザの疑い」と付けて、一度「中止」と転帰します。そして再検査を行う日付で再度「インフルエンザの疑い」(陽性の場合は確定病名)を付けると2回までは審査的にも認められるものです。

 

検査必須 減点注意

インフルエンザの診断は「成人はインフルエンザ抗原定性検査が必須」となっています。検査をせずに薬剤(タミフルなど)を処方されますと予防薬と思われてしまい、インフルエンザの傷病名が付いていても減点される可能性がありますのでご留意ください。(予防薬としての処方は保険適応外です。)

しかしながら、「小児の場合は臨床診断でも可」となっています。これは、何歳までなら可能というものではなく、「小児であって検査が出来ない場合は臨床のみの診断でも可」という解釈になります。

 

インフルエンザ検査の時間外加算の取り扱い

診療時間外に緊急で来院され、インフルエンザの検査を行った場合でも、「時間外緊急院内検査加算」は算定できません。一方で、診察料に対する時間外加算は算定できますね。

 

診察料に対する時間外等加算

表示している診療時間以外で患者様を診療した場合には、時間外等加算が算定できますが、「診療時間が5分過ぎたから時間外加算になります」なんて説明をされているスタッフさんを見かけます。たしかに表示している診療時間を過ぎていることは、加算が算定できる条件の一つではありますが、本当はこれだけで加算してはいけません。加算をするための条件は他にもあって、それらがすべて当てはまった場合のみ加算ができます。加算の条件は以下の通りです。

① 表示した診療時間以外であって

② すでに診療体制が解かれている状態であり

③ 次の診療を開始する(翌日)までこのままの状態では放置できない緊急を要する状態であって

④ 患者の方から診療を希望して来院した場合

 

これらがすべて当てはまる状況にあるときに時間外等加算は算定できます。

 

ですから、①だけが当てはまっても加算はできません。5分過ぎたとしても、まだ診療中であったり、待っている患者様がいて診療体制が整っている場合には加算はできません。また気をつけなければならないのが、時間外に来院されて、「遅いからいつもの薬だけを処方する」というような場合です。これでは、緊急を要する状態とは判断できないので、実際に時間外に来院された場合でも加算分は減点されることもあります。医師から時間外等に来るよう指示した場合ももちろん加算はできません。

 

健康診断と保険診療

この時期、健康診断も行われることが多いと思います。健診と保険診療を同日に行った場合は、健診が優先されます。健診に含まれていない項目であって、医学的に必要がある場合には、健康保険で算定可能です。ただし、検体検査の場合は健診にて採取した検体を用いて行われた場合の採取料や、健診に含まれる項目と同じ区分の判断料は、健診の中に含まれるので保険での請求はできません。(自費でも算定不可)

電子カルテやレセコンで自動的に算定された場合には、削除してくださいね。

 

参考までに!

採血のあとに針を刺したところが内出血したり、青アザになったなんて経験ありませんか。こうなると、「担当してくれた人が下手だったんだよね」なんて言う人がいますが、これは担当者が下手だったわけではないようです。原因はいくつかあると思いますが、その中の1つをご紹介しますね。

採血の針を刺すときを思い浮かべてみてください。血管に対して針を真上からまっすぐに刺す、なんてことはしませんよね。だいたい針刺入角度は10から20度ぐらいですから、横から斜めに針を刺します。そうすると、皮膚の(針で)穴があいたところと、血管の(針で)穴があいた位置に少しずれが生じます。このずれが大きいほど内出血をする可能性が高くなるようです。そして採血後に「しっかり押さえておいて」と言われると、たいていの人は皮膚の穴のあいたところを押さえますね。そうすると血管の穴のあいたところから出血して青アザが出来上がる、というわけです。ですから、ここでのポイントは『針を刺したところではなく、血管に針が刺さったところを押さえること』なんですが、それは目では見えないのでわかりません。なのでこのようなときには、手のひらいっぱいで少し広い範囲をしっかり押さえておくのがいいようです。揉まずにしっかり押さえることももちろん大切で、止血不足も青アザの原因になりますのでご注意ください。

これは静脈注射や点滴注射を行った後でも同じことなので、『なるほどね』と思っていただけた方は、患者様が採血や静脈注射、点滴注射を終わられてきたときに「お疲れ様でした。針を刺したところは手のひらで少しの間、しっかり押さえておかれるといいですよ」なんてお声をかけてみてください。もちろん青アザ防止のためにもなります。また、患者様とお話をするきっかけにもなりますので、コミュニケーションにもつながると思います。受付の方は『クリニックの顔』でもありますので、患者様と接するときの接遇マナーは、態度や言葉づかいだけでなく心づかいも大切です。積極的に声かけをすることで、苦痛や不安や痛い思いなどをされた患者様が少しでも笑顔になって和むように気配り、心配りも心がけたいものです。

 

—この記事は2018年11月に書かれたものです—

執筆:日本医業総研

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